交響曲第4番 (マルティノン)

交響曲第4番『至高』作品53

フランスの作曲家・指揮者であるジャン・マルティノンが作曲した交響曲第4番『至高』（Altitudes）作品53は、彼の最後の交響曲であり、壮大なスケールと複雑な構成を持つ作品として知られています。

作曲の経緯

マルティノンは1963年にシカゴ交響楽団の常任指揮者に就任しました。1965年、シカゴ交響楽団が創立75周年を迎えるにあたり、その記念として作曲されたのがこの交響曲『至高』です。この作品は、マルティノンにとって最後の交響曲となりました。
1965年12月30日、作曲者自身の指揮によりシカゴ交響楽団が世界初演を行いました。日本初演は1970年11月24日に、同じくマルティノンの指揮、日本フィルハーモニー交響楽団によって行われました。

編成

この交響曲は、以下の楽器によって演奏されます。

フルート：4
オーボエ：3
イングリッシュホルン：3
クラリネット：3
バスクラリネット
ファゴット：3（うち1はコントラファゴット持ち替え）
ホルン：5
トランペット：3
トロンボーン：3
チューバ
ティンパニ
打楽器奏者：男女4名
ハープ
ピアノ
チェレスタ
弦五部

構成

この交響曲は、以下の3つの楽章で構成されています。

第1楽章「星への門」（Allegro agittato）

冒頭、弦楽器がコミカルな主題を提示します。この主題は木管楽器へと引き継がれ、しばらくの間、音楽の中心となります。金管楽器の力強い咆哮を挟んで静まると、弦楽器に浮遊感のある旋律が現れます。一度盛り上がりを見せた後、静寂が訪れ、浮遊感のある響きが続きます。やがて、楽章前半の雰囲気が戻り、賑やかなクライマックスを迎えますが、突然消え入るように終わります。

第2楽章「垂直の園」（Adagio misterioso）

低弦楽器の重厚な響きを背景に、木管楽器と弦楽器が長く息の続く旋律を奏でます。特にオーボエのソロが中心的な役割を果たします。一度クライマックスを迎え、その後再び静けさが訪れると、チェロのソロやフルートのソロが対話を繰り広げます。断続的に鉄琴が鳴り響く中、弦楽器のハーモニクスによる謎めいた響きで楽章を閉じます。

第3楽章「神々の交差」（Allegro temo di scherzo）

打楽器やピアノのリズミカルな響きが盛り上がりをみせ、和音の打撃が続いた後、金管楽器によってファンファーレのような主題が現れます。弦楽器と管楽器が対話を繰り広げ、静寂が訪れます。時折、全合奏を挟みながら、静かに舞曲風の旋律が流れていきます。トランペットのソロが頂点を築くと、静かになり、弦楽器主体の響きに変化します。その後、打楽器群の先導によって、最後の激しい盛り上がりを見せ、全合奏による力強いハ音で終結します。

録音

この交響曲は、作曲者自身の指揮による演奏が録音されており、ニールセンの交響曲第4番「不滅」とのカップリングで聴くことができます。

* ジャン・マルティノン指揮、シカゴ交響楽団。RCA TWCL-2010。

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