京成1形電車

京成1形電車

京成1形電車は、京成電気軌道（現在の京成電鉄）が1912年（大正元年）に製造した電車です。京成の開業時に合わせて導入されました。

概要

京成電気軌道が開業した1912年11月に、モハ1 - モハ5の5両が製造されました。その後、1918年（大正7年）までに新造・購入を合わせてモハ1 - 13とサハ14 - 19の19両が導入されています。製造は大日本軌道鉄工部が担当しました。

車体は木製で、ボギー台車を備えています。主電動機は37.5kWのものが4基搭載され、集電装置はトロリーポール式でした。架線電圧は600V、定員は90名です。ただし、購入車両の台車は単台車でした。車両の前後には、金属製の救助網が装備されているのが特徴です。

1923年（大正12年）には、モハ12が王子電気軌道に譲渡されました。残りの18両も1928年（昭和3年）に廃車となり、短命に終わっています。

詳細

京成1形電車は、京成電鉄の黎明期を支えた車両でしたが、その活躍期間は非常に短いものでした。木造車体であったことや、他の鉄道会社への譲渡など、様々な要因が考えられます。しかし、京成電鉄の歴史を語る上では欠かせない存在であり、その存在は鉄道ファンに語り継がれています。

金属製の救助網は、当時の路面電車や鉄道車両によく見られた装備であり、人身事故の際に乗客や車両への被害を軽減する目的がありました。京成1形電車も、開業当初から安全対策に配慮した設計であったことが伺えます。

廃車後は、保存されることなく解体されたため、現存する車両はありません。しかし、当時の写真や図面などが残されており、その姿を偲ぶことができます。

短い期間での廃車であること、現存車両がないことなどから、詳細な情報が少ない車両ではありますが、京成電鉄の歴史を語る上では重要な車両です。



参考文献

* 早尾興・諸川久「日本の私鉄15 京成」保育社

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