京成3150形電車

京成3150形電車は、1963年から2001年まで京成電鉄で活躍した通勤形電車です。本項では、北総開発鉄道（現・北総鉄道）へリースされた7050形電車、および千葉急行電鉄（現・京成千原線）へリースされた車両についても解説します。

概要

1963年2月から11月にかけて、3151 - 3194の4両固定編成11本、計44両が製造されました。3100形と同様の片開き扉車ですが、4両固定編成としたことで、「赤電」では初の運転台を持たない中間電動車が登場しました。

1963年11月製造の3191 - 3194は、特急「開運」号用1500形の代替としてセミクロスシートで登場しましたが、1972年のAE形登場に伴い、1974年 1月にロングシート化されました。

外観上の特徴として、屋根が二重構造（モニター屋根）ではなく、個別角型の通風器（ベンチレーター）を設置する構造となりました。室内は3100形と共通です。

台車・駆動装置・主電動機は、3151 - 3162・3183 - 3194が汽車製造製KS116C台車・TD平行カルダン、東洋電機製造製TDK810/4-Fモーターを装備。その他の車両は住友金属工業製FS329C台車・WNドライブ、三菱電機製MB-3028-Eモーターを装備しました。車両番号末尾が奇数の車両には、C-1000電動空気圧縮機 (CP) 、CLG-319電動発電機 (MG) 、パンタグラフが搭載されました。

更新前の主な改造・動向

1969年9月、3187 - 3190の前面および側面に試験的に種別・行先表示器が設置されました。これは3300形2次車で本格採用され、1970年には3151 - 3170にも設置されました。本形式では全車への設置には至らず、3151 - 3170・3187 - 3190を「方向幕車」と呼称します。同時期に、全編成の中間車奇数号車の成田方に両開広幅ステンレス製無塗装貫通扉が設置されました。

1980年5月から1981年9月にかけて、車体塗装がツートンカラーからファイアーオレンジ一色に変更され、ほぼ同時期に「方向幕車」の字幕が白地に黒文字から青地に白文字に変更されました。

更新および冷房搭載

1983年4月以降、3167 - 3170を皮切りに更新と冷房装置搭載が行われました。従来の更新修繕は腐食箇所の修繕と内装材の張り替えが中心でしたが、3150形では冷房搭載に加え、外観・室内も一新されました。

ベンチレーターが撤去され、3600形M1車と同様の分散式冷房装置が搭載されました。前面スタイルは3600形に準じ、前照灯・尾灯を腰部に配置。上部中央に行先表示器（3600形同様の20コマタイプ）、上部左右に急行灯が配置されました。種別表示器はステンレス製貫通扉窓下に窓を設け、内部から従来の種別表示板を表示する方式となりました。

室内は「赤電」のイメージを一新し、イエロー系クリーム色の化粧板、ワインレッドの座席モケット、グリーンの床材を採用。暖房器も反射形ヒーターに変更され、座席下の蹴込み板もステンレス製に交換されました。冷房搭載に伴い、天井のファンデリア（換気扇）は撤去され、補助送風機として東芝製首振扇風機が設置されました。

電動車ユニット間連結部の貫通路を狭幅化、連結器を棒連結器から密着自動連結器に交換し、2両単位での分割や4・6・8両編成への組み替えを可能にしました。奇数号車にはステンレス製貫通扉が新設され、ユニット間の妻窓は廃止されました。乗務員室仕切り扉は従来の再用品で、クリーム色に塗装されました。

冷房化に伴いMGが大容量化され、5.5kVAのCLG-319から、3500形で使用されている75kVAのCLG-355Bに交換されました。

更新は「方向幕車」から行われ、1984年6月出場の3153 - 3154ユニットで「方向幕車」の更新が完了しました。同年7月出場の3183 - 3184からは行先表示器未設置の車両への施工となりました。1985年6月に3174 - 3173が出場し、全車の更新が完了しました。

前面レイアウトや室内配色などは、後の3200形・3300形更新車にも引き継がれました。

更新後の主な改造・動向

1988年5月末、3163 - 3164ユニットがVVVFインバータ制御改造車の3200形3294編成と連結し、6連混結試運転を実施。その後、1989年6月から7月にかけて3294 - 3291+3188 - 3187の混結6連を組成し、営業運転に使用されました。3150形と3200形VVVFインバータ車混結の営業運転はこれが唯一の事例です。

1989年4月末から5月末にかけて、3200形更新出場直後の3297 - 3298が3158編成と組成され、混結6連が見られました。

1991年3月以降、京成車による京浜急行電鉄への直通運転が開始されましたが、当形式は先頭台車にモーターを装着しているため、1995年頃まで頻繁に京急直通運用に充当されました。1993年4月1日には京急空港線羽田駅（現・天空橋駅）が開業し、6両編成までしか入線できなかった同線に、京成車両も乗り入れるようになりました。

1991年7月から1992年11月にかけて、運転台の主幹制御器が交換されました。また、3151 - 3154・3161 - 3162・3183 - 3186については、モーターがTDK810/4-FからTDK8100-Aに交換されました。

1993年6月、3170編成がファイアーオレンジから現行標準色のライトグレーベースにレッド・ブルー帯へ変更されました。以後、定期検査時に塗装変更が行われました。

リースによる除籍および廃車

1995年9月、3166編成と3170編成が北総開発鉄道にリースされ、7050形7054 - 7051・7058 - 7055に改番されました。1996年4月には3158 - 3157が千葉急行にリースされ、3121 - 3122と混結されました。

1998年2月には3174編成と3186編成が北総にリースされ、7050形7064 - 7061・7068 - 7065に改番されました。1998年3月末に3156 - 3155が廃車・解体され、千葉急行にリースされていた3158 - 3157が京成に返却され、そのまま廃車・解体されました。

1998年10月に千葉急行が会社解散したため、3154編成および3162 - 3121編成が京成に返却されて継続使用されました。2000年2月には「開運」号に使用されていた3194編成が廃車・解体されました。2001年5月には3162編成が北総へリースされ、3150形は京成車としては形式消滅となりました。

その後、北総7300形と同一設計の3700形がリースされることになり、2003年2月より3808編成改め7808編成がリースされました。最後に残った7088 - 7081編成も2003年12月に廃車され、3150形はリース車を含め全廃となりました。

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