京都大学吉田キャンパス

京都大学吉田キャンパス

京都大学吉田キャンパスは、京都市左京区吉田地区に位置し、京都大学の本部が置かれる、同大学最大のキャンパスです。道路によって区分された複数の構内があり、それぞれに特色があります。各構内の名称は時代とともに変化していますが、教員や学生の間では旧称が使われることもあります。

構内構成

本部構内：文学部、教育学部、法学部、経済学部、工学部などが使用。図書館、経済研究所、総合博物館などの施設も充実しています。京阪鴨東線出町柳駅から徒歩10分。

特徴：
尾張藩京都下屋敷跡地に設立
時計台記念館とクスノキは大学の象徴
湯川秀樹・朝永振一郎・福井謙一が研究した旧石油化学教室本館
正門、文学部陳列館、尊攘堂など登録有形文化財が多数

北部構内：理学部、農学部などが使用。人文科学研究所、基礎物理学研究所、附属農場、植物園などがあります。京阪鴨東線出町柳駅から徒歩15分。

特徴：
土佐藩下屋敷跡地に設立
理系中心で落ち着いた雰囲気
農学部グランド（通称「農G」）
理学部正門から続く銀杏並木

吉田南構内：総合人間学部が使用。学術情報メディアセンター（南館）、高等教育研究開発推進センターなどがあります。京阪鴨東線出町柳駅または神宮丸太町駅から徒歩15分。

特徴：
旧制三高の校地を継承
全学共通科目の講義が多数開講
吉田寮（日本最古の現役学生寮）
サークル勧誘や政治主張のビラが多い

西部構内：講義室・研究室はなく、総合体育館、西部講堂など、課外活動に使われます。京阪鴨東線出町柳駅から徒歩10分。

特徴：
京都高等工芸学校跡地
サークル棟、京都大学生活協同組合の施設（西部会館）

医学部構内：医学部（医学科）が使用。放射線生物研究センターなどがあります。京阪鴨東線神宮丸太町駅から徒歩10分。

特徴：
医学系の施設で占められている

薬学部構内：薬学部、医学部（人間健康科学科）が使用。ウイルス・再生医科学研究所などがあります。京阪鴨東線神宮丸太町駅から徒歩5分。

特徴：
会津藩下屋敷跡地
旧・京都織物会社本館（現・東南アジア地域研究研究所の図書室）

病院構内：附属病院（病院東構内）があります。京阪鴨東線神宮丸太町駅から徒歩10分。

特徴：
京都帝大医科大学附属医院の敷地として取得
放送大学のパラボラアンテナ

遺跡

吉田キャンパス周辺は、先史時代から集落が形成されていた地域であり、縄文時代から近世に至る多くの遺跡が発見されています。

北白川追分町遺跡（縄文時代）：北部構内
弥生時代の水田跡：吉田南構内など
梵鐘鋳造坑（平安時代）：吉田南構内
火葬塚（平安時代）：北部構内
白川道の跡（中世〜近世）：本部構内など
土佐藩邸跡（幕末）：北部構内

文化財

キャンパス内には明治から昭和初期にかけての建物が多く残っており、国の登録有形文化財として登録されています。

本部構内正門（旧第三高等中学校正門）
総合人間学部正門（旧第三高等学校正門）
尊攘堂
文学部陳列館
農学部表門および門衛所
楽友会館
人文科学研究所人文情報学研究センター（旧外務省東方文化学院京都研究所）
農学部附属演習林旧本部事務室

文化財登録はされていないものの、歴史的・建築学的価値が指摘されている建物もあります。

吉田寮食堂（旧第三高等中学校寄宿舎食堂）
国際交流センター（旧第三高等中学校物理学実験場）
保健管理センター・学生部（旧石油化学教室本館）
医学部解剖学教室本館
吉田寮現棟
京都大学百周年時計台記念館

周辺環境

今出川通、東大路通沿いには、古書店、食堂、喫茶店など学生街の風景が見られます。西田幾多郎ゆかりの哲学の道、吉田山など、教員・学生に因んだ事物も多いです。「百万遍」という呼称は、キャンパスに隣接する知恩寺に由来します。

課題

過密問題：本部・吉田南構内は建物が密集しており、通路幅が狭い、駐輪場不足などの問題があります。
* 防災：花折断層が近く、地震による被害が懸念されるため、建物の耐震補強工事が進められています。

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