人制

人制（ひとせい）

人制は、5世紀の大和政権において形成されていたとされる官人制度の初期形態を指します。この制度の主な特徴は、伴造が自らの地域の部民を指導し、国政に関与する構造があったことです。5世紀頃には、これらの伴造の中から特に能力の高い individual（個人）または複数人が選ばれ、彼らは家族や地域社会から独立した形で上番し、特定の任務を帯びる存在となりました。

これらの官人は、同じ任務を持つ仲間と共に「×人」というグループに組織化され、王権との関係を構築しつつ、自らの職務を遂行していました。具体的な例として、埼玉県にある稲荷山古墳から出土した銀象嵌の大刀には「杖刀人」という名称が記されており、熊本県の江田船山古墳から出た大刀にも「典曹人」という名前が見つかっています。これらの名称は、6世紀の新羅にも存在し、中国の『周礼』からの影響を指摘する学説もあります。

このような「×人」と称される官人制度は、直木孝次郎によって「人制」と命名され、以後の歴史学においても使われ続けています。8世紀頃までの記録には、様々な職名や氏族が「×人」として登場し、この制度は世襲的に受け継がれていったことも確認されています。

しかし、7世紀頃になると「×人」という名称は次第に「部（とも/とものお）」に変わっていくことになります。この変遷は、後の律令制における伴部などに引き継がれる形となっていきます。実際に、記録上の人制と律令制下の伴部を照らし合わせると、例えば酒人は造酒司酒部に、倉人は大蔵省・内蔵寮蔵部に関連付けられるなど、明確な相関関係が見受けられます。

このように、人制は日本古代の政治組織の形成に大きな役割を果たし、律令制の基礎を築いたと考えられています。人制についての研究は、直木孝次郎の「人制」や、八木充の「人制」、さらにはその他多くの文献によって明らかにされてきました。これらの研究は日本古代国家の構造を理解する上で非常に重要であり、特に部民制の理解にも大いに寄与していると言えるでしょう。

本制度はまた、古代日本の地域社会のあり方や、権力の分配、支配構造といった幅広いテーマに関する考察を促すものでもあります。今後の研究においても、この人制の理解は、古代日本の国家形成や社会の変遷を考える上で欠かせない要素になることでしょう。

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