伴部

伴部（ともべ）

伴部（ともべ、はんぶ、またはとものみやつこ）は、日本の律令制度において、さまざまな官職に配属された官人の役割の一つを指します。この職名は、古代の伴造（ともづくり）の制度を引き継いだと考えられています。伴部は、主に官司における四等官の下での役割を持ち、古い伝統を一部残しつつ、多様な機能を担った集団の一員でもありました。

役割と任命

伴部の官人は、伝統的な負名氏（ふめいし）によって世襲されるのが一般的で、式部省からの判補によって任命されるケースが多く見られました。しかしその一方で、任命者が従来の負名氏に限定されず、流動化する傾向がありました。つまり、複数の負名氏から任じられる場合や、傘下の品部（しなべ）や雑戸（ぞうこ）の中から優れた技能を持つ者が選ばれることもあったのです。この柔軟な任命制度は、伴部の多様性を反映していました。

さらに、伴部は下級官人としての位置づけがあり、課役（かやく）の免除や叙位（じょい）の対象にされることもありました。具体的には、さまざまな分野での職務に携わりながら、彼らはその役割を果たしていました。

主要な伴部の種類

伴部には多くの種類があります。その中でも特に代表的なものを以下に示します：

• - 神祇官 - 神部（かむべ）
• - 主殿寮 - 殿部（とのべ）
• - 衛門府 - 門部（もんべ）
• - 囚獄司 - 物部（ものべ）
• - 東市司・西市司 - 物部（ものべ）
• - 内礼司 - 主礼（しゅれい）
• - 木工寮 - 工部（こうべ）
• - 画工司 - 画部（えのべ）
• - 内蔵寮 - 蔵部（くらべ）、百済手部（くだらてべ）、狛部（こまべ）
• - 大蔵省 - 蔵部（くらべ）、百済手部（くだらてべ）、狛部（こまべ）
• - 左馬寮・右馬寮 - 殿部（とのべ）
• - 塗部司 - 塗部（ぬりべ）
• - 造兵司 - 雑工部（ざっこうべ）
• - 典鋳司 - 雑工部（ざっこうべ）
• - 鼓吹司 - 吹部（ふくべ）
• - 鍛冶司 - 鍛部（かんべ）
• - 土工司 - 泥部（いとべ）

伴部は、このように多岐にわたる役割を果たしており、官職の重要な部分を担っていました。彼らの存在は、律令制度における組織力を強化する要素の一つだったと言えるでしょう。特に、古代の伝統が根付いた中で、伴部はその職務を通じて、社会全体の機能を支える重要な存在として機能していたのです。

参考文献

この情報は、以下の文献を参考にしています。出典を確認することで、さらに詳しい理解が得られるでしょう。

• - 阿部武彦『国史大辞典 10』（吉川弘文館 1989年）
• - 狩野久『日本史大事典 5』（吉川弘文館 1993年）
• - 狩野久『日本歴史大事典 3』（小学館 2001年）

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