仁保 (広島市)

仁保（にほ）地区の概要

仁保は広島市南区に位置する地域で、「仁保」という名前が付けられた幾つかの地区の総称として使用されています。この地域は太田川デルタの一部であり、猿猴川と京橋川に取り囲まれた場所に位置します。

地理的特徴

仁保地区は、北側に国道2号線を挟んで南区東雲、対岸の南区小磯町・向洋には猿猴川が流れています。南側には広島湾を挟んで金輪島や安芸郡坂町があり、西側には南区本浦地区および黄金山があります。また、地区全域は仁保小学校と仁保中学校の学区に含まれています。

仁保地区はかつて「淵崎」「柞木」と呼ばれ、また旧安芸郡仁保島村の中心地として栄えていました。黄金山の麓を绕う旧道には、原爆の影響を受けずに残った古い家屋や土蔵が立ち並び、地域の歴史を感じさせる風景を形成しています。特に黄金橋西詰から仁保インターチェンジに至る川岸には、小さな船溜まりが点在し、かつての漁村の名残を今に伝えています。

歴史的背景

仁保の地名は、鎌倉時代から存在していたとされており、その由来にはいくつかの説があります。水鳥の「鳰」に由来する説や、邇保姫神社の名前から来ているという説、さらには朱砂の産地であったことから「丹生」として名付けられたという説も存在します。

かつて仁保は半農半漁の村として知られ、特に中世から江戸時代にかけては仁保七浦と呼ばれる漁業集落が発展しました。この地域では海苔や牡蠣の養殖が盛んで、また新たに造成された田畑で米や麦の栽培も行われていました。

1889年には町村制により安芸郡仁保島村が設立され、1894年には仁保島高等小学校が開校しました。その後、1929年に広島市に編入合併され、広島市仁保町として土地の名称が変わり、広範囲にわたる地域を涵蓋しました。

戦後の変遷

第二次世界大戦後には広島湾の埋め立てが進行し、工場の立地が増える一方で、地域の水質には影響を与えました。また、1945年の原爆投下による被害は周囲に比べて少なかったものの、避難民などで地域の住民には犠牲者が出ました。

1966年には仁保町が複数の新しい町名に分割され、その際に現在の「仁保」「仁保沖町」が設けられました。これに伴い、地域は急速に宅地化が進行し、蓮畑などの伝統的な農業地区も減少していきました。

現在の仁保地区

1970年代以降、黄金山の山腹に住宅団地が造られ、仁保中学校も開校されるなど、人口は着実に増加しました。近年、地域の交通インフラが向上し、広島南道路や高速道路の開通に伴って、利便性も向上しています。

仁保地区には、公共施設や教育機関が整備されており、学校や保育園、公民館が地域のコミュニティに貢献しています。また、西福寺や竈神社などの歴史的な寺社も点在しており、地域の文化や伝統が息づいています。さらに、ハワイへの移民をテーマにした資料館も設けられ、地域の歴史の一端を知ることができます。

交通について

交通面では、地域を通る国道や県道が整備されており、仁保橋などのインフラも重要な役割を果たしています。広電バスの路線も運行されており、周辺地域へのアクセスも便利です。

このように、仁保地区はその独自の歴史的背景とともに、今なお活気に満ちた地域へと発展しています。

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