今津比枝神社

今津比枝神社（いまづひえじんじゃ）は、大阪市鶴見区今津中に鎮座する歴史ある神社です。かつての社格は村社とされていました。

歴史

神社の創建に関する正確な年代や、近代以前の詳細は残念ながら明らかになっていません。しかし、境内には延宝8年（1680年）に奉納されたとされる灯籠が現存しており、このことから、江戸時代初期には既に何らかの形で神社が存在していたものと推測されています。

歴史上の大きな転換点として、元禄4年（1691年）に近江国（現在の滋賀県）坂本にある日吉大社から神様の分霊をお迎えし、以来「山王権現」として地域の信仰を集めるようになりました。この神社は、当時、摂津国東成郡榎本村大字今津の中野地域、そして河内国茨田郡諸口村の徳庵地域の氏神として、人々の暮らしと深く結びついていました。

明治維新後、神仏分離令が発布されると、それまでの「山王権現」という名称は明治2年（1869年）に廃止され、現在の「今津比枝神社」と改称され、今に至っています。

境内

本殿

現在の本殿は、安永5年（1776年）に造営されたものです。ここには、日本の最高神とされる天照皇大神（あまてらすすめおおかみ）、日吉大社の主祭神である大山咋神（おおやまくいのかみ）、そして国造りの神とされる大己貴命（おおなむちのみこと）の三柱の神様が主祭神として祀られています。

保存樹林

今津比枝神社の境内は、豊かな緑に覆われています。特に注目されるのは、平成6年（1994年）6月15日に大阪市によって保存樹林に指定された樹木群です。クスノキやエノキなど、合計13本の樹木が指定を受けており、これは鶴見区内では唯一の保存樹林となっています。これらの樹木は、都市部において貴重な自然空間を提供しているだけでなく、上空を通過する飛行機の目印としても知られています。

境内社

境内にはいくつかの摂末社が祀られています。本殿に向かって右側には三社殿があり、ここには以下の三柱の神様が合祀されています。

天満宮: 学問の神様として知られる菅原道真公をお祀りしています。
大将軍社: 勇壮な神様である須佐之男命（すさのおのみこと）をお祀りしています。
歯神乃社: 医薬や知恵の神様とされる少彦名命（すくなひこなのみこと）をお祀りしています。

また、本殿の向かって左側には金丸稲荷神社があり、五穀豊穣や商売繁盛の神様である倉稲魂命（うかのみたまのみこと）が祀られています。

交通アクセス

今津比枝神社へは、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。

JR学研都市線（片町線）の徳庵駅で下車し、そこから徒歩でおよそ3分です。
* バスを利用する場合、大阪シティバスの46号系統（天満橋行または徳庵橋行）に乗車し、「今津比枝神社前」バス停で降りるとすぐ目の前です。かつては鶴見ループ（赤バス）も運行していましたが、こちらは廃止され、現在は福祉バスが同ルートを巡回しています。

今津比枝神社は、長い歴史と地域の人々の信仰に支えられ、特に日吉大社からの由緒や貴重な保存樹林を持つなど、見どころの多い神社です。大阪市鶴見区を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみることをお勧めします。

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