介音

介音（かいおん）、または韻頭（いんとう）とは、中国語の音節において、声母（子音）と主母音（音節主音）の間に位置する母音または半母音のことです。現代の普通話では、/i/, /u/, /y/ の3種類の介音が存在します。ゼロ介音を含めれば4種類となります。

中国語の音節構造は、まず声母と呼ばれる頭子音と、それ以下の母音を中心とした韻母の二つに大きく分けられます。韻母はさらに、韻頭、韻腹、韻尾の三つに分類されます。このうち、「韻腹」は音節の中心となる音節主音であり、「主母音」とも呼ばれます。そして、「韻頭」あるいは「介音」は、その前に位置する補助的な母音です。介音は、声母と韻母を仲介する音という意味を持っています。

西洋の音声学の観点から見ると、介音は上昇二重母音または三重母音の始まりの音色と捉えられ、音節主音と一体となって一つの母音として認識されます。一方、音韻学ではこれを切り取り、介音が存在しない場合はゼロ介音として扱います。また音声学では、頭子音が存在しない場合、これらの半母音は子音、すなわち接近音として扱われますが、音韻学では、声母をゼロ声母として扱い、やはり介音として分類します。

介音は、その特性によって、古くは「等呼」という分類方法で区別されていました。まず、唇をすぼめる/u/の特性を持つ「合口呼」と、そうでない「開口呼」に二分し、さらに口の開き方によって四つに分類しました。この分類を現代的に解釈すると、/u/介音は合口呼に、/i/介音は開口呼の三等・四等に相当すると言えます。現代では、音韻変化によって「四呼」と呼ばれる分類が用いられており、ゼロ介音が開口呼、/i/介音が斉歯呼、/u/介音が合口呼、/y/介音が撮口呼に分類されます。

このように、介音は中国語の音節構造において、音色を決定づける上で非常に重要な役割を担っています。声母と主母音を繋ぎ、音節全体に複雑な変化をもたらす介音を理解することは、中国語の発音を正確に把握する上で不可欠です。


関連事項

等呼
四呼

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