四呼

四呼（しこ）とは

四呼とは、中国の伝統的な音韻学において、韻母（母音または母音＋末子音）をその発音時の口の形に基づいて分類した術語です。具体的には、開口呼、斉歯呼、合口呼、撮口呼の4つに分類されます。この分類法は、明代以降に確立し、現代中国語の発音体系を理解する上で非常に重要な役割を果たしています。

四呼の起源と発展

四呼の概念は、宋代以降の後期中古音の韻類を分類した「等呼」にそのルーツがあります。等呼では、唇の丸みによって韻母を大きく開口呼と合口呼の2つに分け、さらに主母音の位置によって細かく分類していました。

明代になると、この分類法に改良が加えられ、新たな「呼」が創出されました。清代には、潘耒の著書『類音』において、これらの分類が整理され、現在の四呼の形にまとめられました。この分類法は、現代の中国語学でも広く用いられています。

四呼の詳細

四呼は、以下の4つに分類されます。

1. 開口呼（かいこうこ）: 韻頭や韻腹に「i」「u」「y」の音を伴わない韻母です。例えば、「a」「e」「o」などがこれに該当します。
2. 斉歯呼（せいしこ）: 韻頭や韻腹が「i」で構成される韻母です。例えば、「ia」「ie」「iao」などがこれに該当します。
3. 合口呼（ごうこうこ）: 韻頭や韻腹が「u」で構成される韻母です。例えば、「ua」「uo」「uai」などがこれに該当します。
4. 撮口呼（さっこうこ）: 韻頭や韻腹が「y」で構成される韻母です。例えば、「ye」「yue」「yuan」などがこれに該当します。

日本語では、開口呼と合口呼をまとめて「直音」、斉歯呼と撮口呼をまとめて「拗音」と呼ぶことがあります。しかし、現代中国語では、これらの分類を「洪音（こうおん）」「細音（さいおん）」という語で区別することがあります。

現代中国語における四呼

現代中国語（普通話）の韻母は、この四呼の分類に基づいて整理されています。この分類を理解することで、各韻母の発音をより正確に把握することができます。

例えば、現代中国語の多くの韻母は、これらの四呼のいずれかに分類され、それぞれの韻母がどのような口の形で発音されるかを理解するのに役立ちます。これにより、中国語の発音学習において、より体系的な理解が可能になります。

関連項目

等呼（とうこ）: 四呼の基礎となった、より古い韻母の分類法。
介音（かいおん）: 韻母の中で、主母音の前にある「i」「u」「y」などの音。四呼の分類において重要な要素となる。

四呼は、中国音韻学における基本的な概念であり、中国語の発音を理解する上で欠かせない知識です。この概念を理解することで、中国語の発音に対する理解を深め、より正確で自然な発音を目指すことができるでしょう。

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