令狐通

令狐通の生涯と業績

令狐通（れいこ つう）の生年と没年は不詳ですが、彼は唐代に生きた著名な軍人でした。出身は京兆府富平県で、家族背景には、著名な軍人であった令狐彰の子供としての経歴があります。彼の活動が特に目立ったのは、元和年間のことでした。この時期、彼は宰相の李吉甫による提案で賛善大夫の位を授かり、宿州刺史としての地位に就くことになります。

元和9年（814年）、淮西で発生した呉元済の反乱に対して、令狐通は派遣されます。彼は泗州刺史として、反乱軍の討伐にあたることになります。その後、寿州団練使・検校御史中丞に転任し、すぐに戦場での勝利を報告することに情熱を注ぐようになったのです。

ただし、彼の勝利報告には少々誇張がありました。数人の捕虜を確保した際には、その戦果を大きく取り計る傾向がありました。このため、宰相の武元衡は彼の報告を笑って取り上げずにいました。また、もしも敗北を喫した際には、敢えて上に報告しようとはせず、苦しい状況を隠そうとしました。最終的に反乱軍からの攻撃を受けると、州境の城柵が次々に陥落し、令狐通は寿春県へと逃れることになります。彼はその後も城壁を閉ざすだけで出陣しませんでした。

この状況を受け、唐の宰相である憲宗は李文通を派遣し、令狐通と交代させます。令狐通はその後、昭州司戸参軍に左遷されますが、しばらくの間、撫州司馬という役職に転じることになりました。元和14年（819年）、彼は長安に召還されて右衛将軍に任命されます。この際、給事中の崔植からは、令狐通が寿州での行動によって紀律を失っているとして、将軍職がふさわしくないとの上奏がなされました。

それにも関わらず、宰相の憲宗は彼の父親の功績を考慮し、令狐通を見捨てることはできないと考え、そのまま職務を続行させました。約1年後には淄州刺史として再び派遣され、長慶初年に入り、王朝に戻り左衛大将軍に任じられました。そしてその後、令狐通は生涯を終えることとなります。

彼の伝記は、後世に『旧唐書』や『新唐書』などの著作に記録されており、唐代の軍人としての彼の活躍が今なお語り継がれています。令狐通の生涯は、数多くの反乱と戦争の中で軍人としての経験を高め、家族の名誉を受け継ぎつつも、同時に彼自身の権力と影響力を得ていくドラマチックなものだったと言えるでしょう。

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