伊丹康直

伊丹康直

伊丹康直（いたみ やすなお）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、今川氏、武田氏、徳川氏という三つの有力な戦国大名に仕えたことで知られています。特に水軍の指揮官として活躍しました。

生涯

大永2年（1522年）、伊丹元扶（初名は雅興）の子として摂津国で生まれました。伊丹氏は摂津国の国人であり、伊丹城を拠点とする一族でした。幼名は千代松、初名は雅勝と名乗りました。

幼少期、伊丹氏は管領の細川氏の権力争いに巻き込まれました。享禄2年（1529年）には伊丹城が落城し、父・元扶が戦死するという悲劇に見舞われます。幼い千代松は、伊丹氏家臣であり外祖父の間野時秋（間野七郎）と共に摂津を脱出し、伊勢国や上野国を流浪することになりました。

永禄元年（1558年）、千代松（後の雅勝）は駿河国に流れ着き、今川義元に抜擢され、同朋衆として仕えるようになったと伝えられています。正室が今川氏の重臣・岡部氏の出身であったことから、この縁を頼ったと考えられています。

今川義元の死後（桶狭間の戦い）、氏真に仕え、海賊奉行に抜擢され今川水軍を統率しました。しかし、今川氏が武田信玄の侵攻によって衰退すると、信玄の下で船大将として仕えることになります。元亀2年（1571年）には信玄の命を受け、武田水軍の創設に貢献し、駿河湾に侵攻した後北条氏の清水康英率いる伊豆水軍を撃退するなどの戦功を上げました。

武田信玄の死後は、勝頼に仕えましたが、織田信長の甲州征伐により武田氏が滅亡すると、徳川家康の家臣として仕えることになります。家康からは駿河清水の御船奉行に任じられ、その水軍の知識と経験を活かしました。また、最終的に名乗った「康直」という名前の「康」の字は、それまでの近親者にこの字を用いた者がいなかったため、家康から偏諱を与えられたものと考えられています。

慶長元年（1596年）7月21日に死去しました。享年74歳。跡は三男の康勝が継ぎました。康勝の時代に、伊丹氏は大名にまで栄進しています。

伊丹康直は、激動の戦国時代を生き抜き、その時代を代表する武将たちに仕えた人物でした。特に水軍を率いる武将としての活躍は目覚ましく、その後の水軍の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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