伊丹元扶

伊丹元扶：戦国時代の武将、その生涯

伊丹元扶（いたみ もとすけ）は、戦国時代の武将であり、細川氏（京兆家）の家臣として摂津国伊丹城主を務めました。

生涯

伊丹氏は摂津国の国人であり、元扶は初め細川政元に仕えました。この時、政元から偏諱を受け、初名の雅興（まさおき）から元扶に改名したとされています。永正4年（1507年）6月に政元が暗殺されると、京兆家の家督をめぐる内紛である永正の錯乱が勃発し、元扶は政元の養子の一人である澄元に従いました。

永正5年（1508年）4月、政元のもう一人の養子で、澄元と家督を争っていた高国が京に侵攻すると、元扶は三好之長との対立から、丹波国守護代の内藤貞正らと共に高国に呼応して京へ向かい、澄元、之長らを近江国へ駆逐しました。永正16年（1519年）11月、澄元と之長らに伊丹城を攻撃され落城しますが、永正17年（1520年）5月に澄元と之長が高国に等持院の戦いで敗北すると、元扶は伊丹城を奪還しました。

大永7年（1527年）1月、澄元の遺児である六郎を擁する三好勝長、三好政長に呼応した波多野元清、柳本賢治が摂津の諸城を次々と攻撃した際、元扶は伊丹城に拠って抵抗しました。桂川原の戦いで高国が三好勢に敗れた後も籠城を続けましたが、10月に降伏し、以後は三好元長に属しました。享禄2年（1529年）8月、同じ三好方の柳本賢治との対立により元長が阿波国へ撤退すると、元扶は畿内で孤立し、11月21日に柳本賢治に伊丹城を攻められ討ち死にしました。

元扶の家督は息子とされる国扶が継ぎました。享禄3年（1530年）に高国が京に帰還すると、国扶は高国に味方し、大物崩れで高国が死ぬまで彼を支持しました。もう一人の息子である千代松（のちの康直）は難を逃れて各地を流浪した後、駿河国の今川義元の家臣となりました。

伊丹元扶は、激動の戦国時代を生き抜いた武将であり、その生涯は、当時の政治情勢や武将たちの勢力争いを反映しています。



参考文献
* 戦国人名事典（新人物往来社）

もう一度検索