伊予国分寺

伊予国分寺（いよこくぶんじ）

伊予国分寺は、愛媛県今治市国分に位置する真言律宗の寺院です。金光山、最勝院と号し、本尊に薬師瑠璃光如来を祀ります。四国八十八箇所霊場の第五十九番札所であり、伊予府中十三石仏霊場の第七番霊場にも数えられています。札所寺院としては、「国分寺」と称されるのが一般的です。

歴史

天平13年（741年）、聖武天皇の詔により全国に建立された国分寺の一つとして創建されました。国分寺は『金光明最勝王経』に基づき国家鎮護の祈願を目的とした寺院であり、当寺もその経典から山号と院号がつけられました。寺伝によると、開基は行基菩薩、その後、空海（弘法大師）も逗留し、真如が法華経を奉納したと伝えられます。

確かな創建年は不明ですが、『続日本紀』には、天平勝宝8年（756年）に伊予国を含む26か国の国分寺へ仏具などが下賜された記録があり、この頃には寺院が完成していたと考えられています。

その後、伊予国分寺は度重なる戦火に見舞われ、藤原純友の乱、源平合戦、細川頼之による兵火、長宗我部元親の侵攻などにより焼失と再建を繰り返しました。しかし、焼失を免れた古文書によって、律令制の衰退後も伊予における仏教信仰の中心地として維持されてきたことがわかっています。

現在の境内は、かつての伊予国府の跡地とされ、かつての境内は東に離れた場所にあったとされています。寺の東方には、かつての国分寺東塔跡が残されており、礎石を確認することができます。

境内

境内には、以下の伽藍が配置されています。

本堂：寛政元年（1789年）に再建された建物。
大師堂：弘法大師を祀る。
金毘羅堂：本堂と大師堂の間に位置する。
弁財天祠：弁財天を祀る。
握手修行大師像：参拝者が握手できる大師像。
七福神石仏：七福神を祀る石仏。
薬師如来の薬壺：薬師如来の象徴である薬壺。
書院：奈良時代から平安時代初期にかけての寺宝や文化財、旧国分寺からの出土品を保存。
鐘楼：鐘を設置した建物。
石槌蔵王大権現遥拝所の石碑：石槌山を遥拝するための石碑。

境内は、石段を上った先にあり、石柱門をくぐると、手水場、薬師如来の薬壺、握手修行大師像が配置されています。本堂の右側には大師堂が、左側には書院や納経所があります。

文化財

伊予国分寺には、多くの文化財が所蔵されており、その一部は県や市の指定文化財となっています。

県指定有形文化財
紙本金地著色柳橋図
国分寺文書
今治市指定天然記念物
とうつばき（唐椿）
今治市指定有形文化財
十二天画像
随求菩薩画像
弘法大師画像
不動明王画像
両界曼荼羅図
普賢菩薩画像
十六羅漢画像
十三仏画像
後西天皇宸筆
大般若経
綸旨院宣奉書等通直判物
霊乗上人言上状附綸旨庁宣等案
坪付

交通案内

鉄道：JR予讃線 伊予富田駅から約2.1km
バス：せとうちバス「国分寺」下車 徒歩約200m
道路：県道156号線沿い
自動車道：今治小松自動車道 今治湯ノ浦ICから約4.3km、西瀬戸自動車道（西瀬戸しまなみ海道）今治ICから約6.4km

奥の院

伊予国分寺の奥の院は、光蔵寺です。推古天皇10年（602年）に開基されたと伝わり、本尊は薬師瑠璃光如来です。

周辺の番外霊場

伊予国分寺の周辺には、以下の番外霊場があります。

桜井石風呂：空海が開いたとされる蒸し風呂。
日切大師：行基が開基、空海が請願を立てたという。
臼井御来迎：空海が加持したとされる霊跡。
道安寺：臼井御来迎の本坊。

前後の札所

四国八十八箇所：58番 仙遊寺 - 59番 国分寺 - 60番 横峰寺
伊予府中十三石仏霊場：6番 今治別院 - 7番 国分寺 - 8番 明積寺

周辺の関連遺跡

伊予国分寺塔跡：国指定史跡。
伊予国分尼寺塔跡：県指定史跡。
伊予国府跡：不明。
伊予総社跡：伊加奈志神社または大山祇神社境内社と推定。

周辺

脇屋刑部卿源義助公神廟：南北朝時代の武将、新田義助の墓所。

まとめ

伊予国分寺は、その長い歴史と多くの文化財、美しい境内が魅力的な寺院です。四国八十八箇所巡礼の際には、ぜひ訪れてみてください。

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