伊勢電気鉄道501形電気機関車

伊勢電気鉄道501形電気機関車

伊勢電気鉄道501形電気機関車は、伊勢電気鉄道が自社線の貨物列車牽引用として製造・保有した電気機関車です。同社初の電気機関車として、路線の電化を支える重要な役割を担いました。

概要

1926年に全線電化を完成させた伊勢電気鉄道は、旅客輸送には新型電車を導入しましたが、貨物輸送には蒸気機関車を併用していました。しかし、経済的な電車運転への移行に伴い、貨物輸送も電気動力化が求められるようになりました。そこで1927年、川崎造船所兵庫工場で2両の凸型電気機関車が製造されました。

これらが501形501・502号機です。製造番号は26・27で、帳簿上の納入先は伊勢鉄道となっています。

車体

501形は、平面で構成された前後のボンネットと中央の乗務員室が特徴的な、リベット組み立ての鋼製凸型車体を備えています。コンパクトな車体で、乗務員室は切妻構造、側面は左右非対称で側窓と乗務員扉が設けられています。ボンネット側面には観音開きの点検扉があり、抵抗器冷却用の鎧戸が設置されています。

主要機器

制御装置は、直流1,500Vの架線電圧をドロップ抵抗で降圧する、ウェスティングハウス・エレクトリック社系のHL電磁空気単位スイッチ式非自動加速制御器を搭載しています。主電動機は、川崎造船所K7-803-Aを各台車に2基ずつ、計4基搭載しています。台車は棒台枠釣り合い梁式、ブレーキは日本エヤーブレーキ製のAMF元空気溜管式非常直通自動空気ブレーキを採用しています。集電装置は、川崎造船所C菱枠パンタグラフを1基搭載しています。

運用

竣工後、伊勢電気鉄道線の貨物輸送の主力として運用されましたが、より強力な511形が就役すると、2線級の扱いとなり、養老線などで使用されました。関西急行鉄道発足に伴い、デ1形デ1・デ2に改番されました。

1959年の名古屋線改軌の際、デ2が1,435mm軌間用に改造されました。1967年にはデ1の更新工事が実施されましたが、小型小出力のため、末期はほとんど使用されませんでした。デ1は1971年、デ2は1975年に除籍され、デ1は解体されましたが、デ2は塩浜工場の入換車として1983年まで使用された後、解体処分されました。

同系車

川崎車輛では、本形式と同系の凸型電気機関車を、高畠鉄道と東京横浜電鉄に納入しています。これらの車両は、本形式の車体設計を基本としつつ、ボンネット部の形状や自重、搭載機器に差異が見られます。

高畠鉄道キ1形キ1
東京横浜電鉄デキ1形デキ1

これら2形式はいずれも保存されており、現存しています。

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