伊号第九
潜水艦(いごうだいきゅうせんすいかん)は、
大日本帝国海軍の
潜水艦であり、
伊九型[[潜水艦]](巡潜甲型)の1番艦として知られていますが、法令上は同級の2番艦にあたります。
1943年(昭和18年)に
キスカ島付近で沈没しました。
艦歴
伊号第九
潜水艦は、
1937年(昭和12年)の第三次海軍補充計画(
③計画)に基づき建造が計画されました。
1938年(昭和13年)
1月25日に
呉海軍工廠で起工、
1939年(昭和14年)
5月20日に進水、そして
1941年(昭和16年)
2月13日に竣工しました。竣工後、
横須賀鎮守府籍となり、第六艦隊第1潜水戦隊に所属しました。
太平洋戦争開戦時
太平洋戦争開戦時、伊9は第六艦隊第1潜水戦隊に所属していました。
1941年(昭和16年)11月21日に横須賀を出港し、
真珠湾攻撃では
オアフ島周辺海域の哨戒を担当しました。
12月9日には、
カウアイ海峡で敵機動部隊を発見した伊6からの情報を受け、その捜索を行いました。12月11日には、
オアフ島北東700浬地点付近で、米貨物船ラハイナを発見し、攻撃、撃沈しました。その後、アメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦に参加するため、米本土西方沖に進出しました。
12月19日にはブランコ岬沖に到達し哨戒を行い、22日には哨戒区域を離れ、グアダルーペ島周辺海域に進出しました。
1942年(昭和17年)1月1日にクェゼリンに到着しました。
その後の作戦行動
1942年2月1日、クェゼリンが米艦隊の空襲を受けたため、伊9は米艦隊の捜索を行いました。その後、ハワイ南方200浬地点付近に到達し、2月23日夜には
真珠湾の航空偵察を試みましたが、悪天候により失敗。帰投してきた搭載機を破損させてしまいます。3月1日には第1次
K作戦に参加。その後、横須賀に帰還しました。
5月15日、伊9は横須賀を出港し、
キスカ島へ向かいました。
アリューシャン列島周辺海域の哨戒や
コディアック島の米軍施設を偵察しました。6月19日には米陸軍輸送船を撃破しましたが、6月30日には哨戒区域を離れ、7月7日に横須賀に到着しました。
8月15日、伊9は横須賀を出港し、サンクリストバル島近海で哨戒を行いました。8月25日には、米駆逐艦グレイソンとの間で激しい戦闘を繰り広げました。爆雷攻撃を受け、潜航不能となるなど大きな損傷を受けましたが、修理のためトラック島に帰還しました。
9月8日にトラックを出港。
ガダルカナル島南東海域で哨戒活動を行い、10月1日には哨戒区域を離れてトラックに到着しました。
その後、伊9は
ソロモン諸島方面へ進出し、11月4日にはヌーメアの飛行場と港を偵察、12日にはエスピリトゥサント島を偵察しました。その後、輸送任務に従事し、ショートランドとカミンボの間を往復しました。
輸送作戦と最期
1943年(昭和18年)に入ると、伊9は輸送作戦に従事しました。ショートランドとカミンボの間で何度も輸送物資の運搬を行いましたが、米軍の哨戒が厳しくなり、揚陸を断念することも多くなりました。2月20日には
川崎重工業神戸造船所に回航され修理を受けました。
5月13日に修理を終えた伊9は、第1期
キスカ島撤退作戦に参加するため、幌筵へ移動しました。6月2日に
キスカ島に到着し、輸送物資を降ろした後、海軍兵士などを乗せて出港しました。
6月10日に幌筵を出港したのを最後に、伊9は消息を絶ちました。アメリカ側の記録によると、6月13日に
キスカ島近海で米駆逐艦フレイジャーの攻撃を受け、沈没しました。艦長の藤井明義大佐以下、乗員101名全員が戦死しました。沈没地点は
キスカ島シリウス岬東方15浬地点付近とされています。
6月15日に
キスカ島付近で沈没と認定され、
8月1日に除籍されました。
戦果
伊9は、太平洋戦争中に1隻の商船(5,645
トン)を撃沈、1隻の輸送船(4,636
トン)を撃破しました。
艤装員長
南里勝次 中佐:1940年7月26日 - 1940年1
1月25日
(臨時)加藤良之助 中佐:1940年11月25日 - 1940年12月20日
大山豊次郎 中佐:1940年12月20日 -
1941年1月15日
潜水艦長
大山豊次郎 中佐:
1941年1月15日 -
1941年7月31日
(代理)上野利武 少佐:1941年2月28日 - 1941年3月3日 (本職:伊号第九潜水艦水雷長)
藤井明義 中佐/大佐:
1941年7月31日 -
1943年6月15日 戦死認定、同日付任海軍少将
参考文献
雑誌『丸』編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。ISBN 4-7698-0462-8
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
外部リンク
*
I-9(英語) - 伊9の艦歴を紹介。