伊号第二潜水艦

概要

伊号第二潜水艦（いごうだいにせんすいかん）は、大日本帝国海軍が建造した巡潜1型潜水艦の2番艦です。1920年代に建造され、太平洋戦争開戦から終戦まで、数々の作戦に参加しました。主に輸送任務や哨戒任務に従事し、時には敵艦との交戦も行いました。1944年、ラバウルからトラックへ向かう途中で戦没しました。

艦歴

建造

1923年（大正12年）の大正12年度艦艇補充計画に基づいて建造が計画されました。当初は第七十五潜水艦と命名されましたが、後に伊号第二潜水艦と改名されました。

1921年4月25日：第七十五潜水艦と命名。
1922年2月10日：海軍大型七十四型2番艦に定められる。
1922年6月15日：艦型名が伊号型巡潜型に改正。
1923年8月6日：川崎造船所にて起工。
1924年11月1日：等級を1等に、艦型名を巡潜型に改正、艦名を伊号第二潜水艦に改名。
1925年2月23日：進水。
1926年 7月24日：竣工、横須賀鎮守府籍となる。

就役から太平洋戦争開戦まで

竣工後、伊2は姉妹艦の伊1と共に第二艦隊第7潜水隊を編成しました。その後、所属や編制を何度か変更し、訓練や作戦行動に従事しました。1935年には、ドイツ海軍駐在武官の視察を受けています。太平洋戦争開戦前には、中国沿岸での作戦行動にも参加しました。

1926年8月1日：第二艦隊第7潜水隊を編成。
1927年1月15日：第7潜水隊が第一艦隊隷下となる。
1927年7月1日：第7潜水隊が横須賀防備隊隷下となる。
1927年9月15日：第7潜水隊から除かれる。
1928年9月10日：第二艦隊第7潜水隊に編入。
1928年12月1日：第7潜水隊が第二艦隊第2潜水戦隊隷下となる。
1930年12月1日：第7潜水隊が第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる。
1932年10月1日：第7潜水隊が横須賀防備隊隷下となる。
1933年11月15日：第7潜水隊が第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる。
1934年9月25日：艦型名が巡潜一型に改正。
1934年11月15日：第7潜水隊が横須賀鎮守府隷下となる。
1935年1月10日：ドイツ海軍駐在武官パウル・ヴェネッカーの視察を受ける。
1936年12月1日：第7潜水隊が第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる。
1937年8月21日：長江河口沿岸で他艦艇と共に作戦行動。
1938年6月1日：艦型名が伊一型に改正。
1940年11月15日：第六艦隊第2潜水戦隊を編成。

太平洋戦争

太平洋戦争開戦時には、第六艦隊第2潜水戦隊第7潜水隊に所属していました。真珠湾攻撃時には、オアフ島沖合で哨戒任務につきました。

1941年11月16日：横須賀を出港し、オアフ島沖に進出。
1941年12月31日：マウイ島カフルイへ砲撃。
1942年1月9日：米空母レキシントンの捜索。
1942年2月12日：横須賀を出港、パラオ、セレベス島南東岸を経由してオーストラリア南西沖に進出。
1942年3月1日：バリ島南方で蘭貨物船パリギーを撃沈。
1942年3月11日：英貨客船チルカを撃沈。
1942年3月14日：ペナンに到着。
1942年3月22日：ペナンを出港し、トリンコマリー沖合で偵察と気象情報の通報に従事。
1942年 4月7日：中型貨物船を撃沈したと報告するも、連合軍側に該当船舶はない。
1942年4月15日：シンガポールに到着。
1942年6月：アリューシャン攻略作戦の支援。
1942年8月20日：第2潜水戦隊の解隊に伴い、第7潜水隊は第六艦隊付属となる。
1942年9月以降：ガダルカナル島への輸送任務を複数回実施。
1943年1月：カミンボでの輸送作戦中、魚雷艇の攻撃を受ける。
1943年2月：伊1の雷撃処分に向かうも、暗闇による視界不良で発見できず、米魚雷艇からの爆雷攻撃を受け損傷。
1943年5月：キスカ島撤退作戦に参加。
1943年6月：艦長が海に転落するも生還する。
1943年7月：アムチトカ島近海で敵のレーダー射撃を受ける。
1943年10月以降：アリューシャン列島西方で哨戒任務に従事。
1944年3月：ラバウルからトラックへ向かう途中で消息不明。

戦没

1944年 4月7日、ビスマルク海を哨戒中の米駆逐艦「ソーフリー」の攻撃により沈没しました。艦長の山口一生少佐以下、乗員110名全員が戦死しました。沈没地点はニューハノーバー島西北西50浬地点付近です。

1944年 4月7日：米駆逐艦「ソーフリー」の攻撃により沈没。
1944年5月4日：ニューアイルランド島方面で戦没と認定。
1944年 6月10日：除籍。

歴代艦長

伊号第二潜水艦の歴代艦長は以下の通りです。

渡部徳四郎少佐：1926年 7月24日 - 1927年11月15日
小林三良少佐：1927年11月15日 - 1928年12月10日
香宗我部譲少佐：1928年12月10日 - 1930年11月15日
秋山勝三少佐：1930年11月15日 - 1931年12月1日
今和泉喜次郎少佐：1931年12月1日 - 1934年10月22日
久米幾次少佐：1934年10月22日 - 1935年11月15日
小林一少佐：1935年11月15日 - 1936年12月1日
深谷惣吉中佐：1936年12月1日 - 1937年11月15日
遠藤敬勇中佐：1937年11月15日 - 1938年12月15日
藤井明義中佐：1938年12月15日 - 1941年7月31日
稲田洋少佐：1941年7月31日 -
森永正彦少佐：1943年3月16日 -
板倉光馬大尉：1943年4月15日 -
山口一生少佐：1943年12月20日 - 1944年 4月7日

脚注

撃沈総数：2隻
撃沈トン数：5,532トン

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真日本の軍艦第12巻潜水艦』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0462-8
外山操『艦長たちの軍艦史』（光人社、2005年） ISBN 4-7698-1246-9
* 板倉光馬「あゝ伊号潜水艦」（光人社NF文庫、1993年）

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