伊号第四百一潜水艦

伊号第四百一潜水艦

伊号第四百一潜水艦（いごうだいよんひゃくいちせんすいかん）は、第二次世界大戦中に大日本帝国海軍が建造した潜水艦で、伊四百型潜水艦の2番艦として知られています。

概要

1945年1月8日に竣工しましたが、その頃には日本の敗戦は濃厚となっていました。それでも、終戦直前の7月20日には、アメリカ海軍機動部隊が停泊するウルシー環礁への攻撃作戦のため、舞鶴を出港し、23日には大湊から出撃しました。この作戦には、第1潜水隊司令の有泉龍之助大佐が指揮官として乗り込み、潜水艦長は南部伸清少佐が務めました。

当初、伊号第四百一潜水艦には、通常の攻撃ではなく、3機の特殊攻撃機「晴嵐」を特攻機として運用する計画がありました。そのため、搭乗員には特攻隊員としての短刀が支給され、出撃時には特攻の別れの儀式も行われたといいます。僚艦の伊号第四百潜水艦との合流が予定されていましたが、合流は実現しませんでした。

攻撃開始直前、日本は終戦を迎え、伊号第四百一潜水艦は降伏命令を受けました。艦内では、自沈すべきか、それとも攻撃を続行すべきかで激しい議論が交わされましたが、最終的には艦長の判断で帰還することに決定。機密保持のため、艦載機は海上で処分されました。帰還途上の8月29日、伊号第四百一潜水艦はアメリカ海軍によって接収されました。有泉司令は、その2日後に司令室で自決しました（ただし、自決日については8月29日とする資料もあります）。乗員204名のうち、他に自決した者はいませんでした。

その後、伊号第四百一潜水艦はアメリカ海軍によって技術調査や実験に利用され、1946年5月31日にはハワイ準州の真珠湾沖で海没処分されました。しかし、2005年には、ハワイ大学のウィルシャー教授率いるチームによって、オアフ島沖で発見され、沈没地点が特定されました。

また、艦載機の機密保持のため、通常は深緑色で日の丸のエンブレムが描かれていた日本軍機を、ウルシー環礁攻撃の際には銀色に塗装し、アメリカ軍の星形のマークを付けてアメリカ軍機に偽装していました。

艦歴

1943年（昭和18年）4月26日 - 佐世保海軍工廠で起工。
12月22日 - 「伊号第四百一潜水艦」と命名。
1944年（昭和19年）3月11日 - 進水。
1945年（昭和20年）1月8日 - 竣工。連合艦隊第6艦隊第1潜水隊に所属し、内海で訓練に従事。
4月12日 - 燃料補給のため大連へ向かう途中、伊予灘姫島灯台沖で機雷に接触し小破。呉に引き返す。
6月 - 七尾湾で艦載機の発着訓練に従事。
7月23日 - ウルシー攻撃のため大湊を出港。出港直後、陸軍守備隊から誤射される。
8月15日 - 終戦をポナペ島南方海面で迎え、日本へ帰投。
8月29日 - 浮上航行中、三陸沖でアメリカ潜水艦「セグンド」に発見される。
8月30日 - 離脱を図るも左舷機関が故障し、速力が低下。セグンドに追いつかれ、アメリカ軍に接収される。
8月31日 - 横須賀港に帰港。
9月15日 - 除籍。
10月 - 佐世保へ回航。
1946年（昭和21年）1月 - 佐世保を出港、アメリカ本土に回航され技術調査を受ける。その後、真珠湾へ曳航。
5月31日 - ハワイ近海で実艦標的として撃沈処分。
2005年3月20日 - ハワイ大学の研究チームにより船体が発見される。

歴代艦長

艤装員長：南部伸清 少佐（1944年12月11日 - ）
潜水艦長：南部伸清 少佐（1945年1月8日 - ）

脚注

注釈

出典

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』（光人社、1990年） ISBN 4-7698-0462-8
外山操『艦長たちの軍艦史』（光人社、2005年） ISBN 4-7698-1246-9
南部伸清『米機動艦隊を奇襲せよ!―潜水空母「伊401」艦長の手記』（二見書房、1999年）
吉村昭『深海の使者』（文春文庫、1971年）

関連項目

* 大日本帝国海軍艦艇一覧

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