伊吹 (巡洋戦艦)

伊吹（いぶき）

伊吹は、日本海軍で建造された巡洋戦艦で、その背景には日本の帝国主義的な海軍拡張の一環としての第三期拡張計画が深く関連しています。艦名の由来は、岐阜県の美しい山、伊吹山から取られています。

概要

この艦は、1868年に建造された一等巡洋艦で、姉妹艦には鞍馬があります。初めはジョン・アバーハム社で製造される予定でしたが、設計段階でタービン搭載に変更されたため、起工が遅れました。特に艦の竣工まで待たなければならなかった戦艦安芸の工事を一時中断し、伊吹の工事を急いだことで、早期に技術的なステップを前進させることができました。

多くの国々が艦船における蒸気機関の導入に慎重であった時期にあって、日本海軍はタービン機関の採用を果敢に進め、既存の国々よりも早く艦艇を近代化しました。これにより1911年、タイのラーマ6世の戴冠式のために出航した際の日本艦隊の中で、伊吹は特に注目を浴びました。

艦歴

1914年の第一次世界大戦では、インド洋に出向き通商保護に従事し、他の艦艇たちと共にドイツの「エムデン」に対抗しました。しかし、出撃の情報が事前に漏れた影響で、効果的な攻撃に失敗しました。後に、伊吹は軍艦としての任務に加え、皇族の移動手段としても使用されました。

1920年代には、艦の運用がシベリア出兵を支援する形で続きましたが、ワシントン海軍軍縮条約の締結により、伊吹は廃艦が決定され、1923年に除籍されました。解体作業は広島の呉海軍工廠で行われ、最終的に同年末に完了しました。

技術

伊吹の設計には相当な工夫がなされました。初期計画ではレシプロ主機が採用されていましたが、タービン方式に変更された結果、24,000実馬力を発揮し、速度も22ノットに達するようになりました。特筆すべきは、タービン機関の導入が艦の性能向上に寄与したことであり、これは特にエンジニアたちによる工夫と計画が功を奏したと言えます。

また、艦の進水式から竣工にかけては、計画が次々と見直され、最速で進水したという記録も残されています。工廠長の小幡文三郎は、他国の進水期間を見て、その期間内での完成を目指しました。

その後

廃艦後、伊吹から取り外された主砲は他の要塞に転用されましたが、その一部は不運にも事故により失われてしまいました。また、戦争の歴史を前面に押し出した艦艇は、現在でも艦船博物館などでその模型が展示されるなど、歴史の一部として語り継がれています。

このように、伊吹はただの軍艦にとどまらず、日本の海軍史を物語る重要な一隻でもありました。

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