伊地知家 (伯爵家)

伊地知家

伊地知家は、桓武平氏の流れを汲む伊地知氏の庶流にあたる武家・士族・華族でした。幕末には薩摩藩士として倒幕に貢献し、維新後には明治政府の高官として活躍した伊地知正治が分家して創設した家です。正治の功績により、華族の伯爵に列せられました。

歴史

伊地知氏は、桓武平氏秩父氏の畠山重忠を祖とし、伊地知季随以降、薩摩国や大隅国に土着して島津氏に仕えた一族です。伊地知家は、その庶流である薩摩藩士伊地知季平の次男、正治が江戸時代末期に分家して創設しました。

正治は薩摩藩内で藩学校の教員や軍役奉行などを務め、慶応4年（1868年）の鳥羽伏見の戦いでは旧幕府軍を撃破する戦功をあげました。その後、東征軍の東山道先鋒総督参謀に任じられ、東北各地でも戦功をあげ、その功績により翌年に賞典禄1000石を賜りました。

維新後、正治は鹿児島県権大参事などを経て、明治7年（1874年）には左院議長、さらに参議に就任しました。その後も一等侍講、修史館総裁などを歴任しました。明治17年（1884年）7月には、その功績により華族の伯爵に列せられ、明治19年（1886年）には枢密顧問官に列しました。夫人のサエは、秩父道之助の長女です。

明治19年5月23日に正治が死去した後、7月13日に長男の正一郎（明治2年11月11日生、昭和19年4月26日没）が伯爵位を継承しました。正一郎が明治43年（1910年）9月20日に隠居した後、その弟で養子の正輔（明治9年5月23日生、大正12年3月20日没）が3代伯爵となりました。正輔の死後、大正12年5月10日には、正輔の長男の正興（明治40年5月2日生、昭和12年3月23日没）が4代伯爵となりました。子供のいなかった正興の死後、亀井茲常伯爵の次男の正勝（明治45年6月28日生）が正輔の娘操子と結婚することで婿養子として、昭和13年10月15日に相続し、5代伯爵となりました。

正勝の代の昭和前期には、伊地知伯爵家の住居は東京市小石川区丸山町にありました。平成前期の当主も正勝で、当時の住居は鹿児島県鹿児島市照国町にありました。正勝の長男には恭正（昭和14年10月22日生）がおり、さらにその長男には洋正（昭和51年6月24日生）がいます。

系図

実線は実子、点線（縦）は養子を示します。系図は『平成新修旧華族家系大成 上巻』に準拠しています。

系譜注

脚注

出典

参考文献

太田亮 著「国立国会図書館デジタルコレクション 伊地知　イチヂ」、上田, 萬年、三上, 参次 監修 編『姓氏家系大辞典』 第1巻、姓氏家系大辞典刊行会、1934年、108-109頁。 NCID BN05000207。OCLC 673726070。
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社〈中公新書1836〉、2006年（平成18年）。ISBN 978-4121018366。
鹿児島県教育会『伊地知正治小伝』鹿児島県教育会、1936年（昭和11年）。
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター〈日本人物誌叢書7〉、1990年（平成2年）。ISBN 978-4820540342。
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 上巻』霞会館、1996年（平成8年）。ISBN 978-4642036702。

関連項目

伊地知氏
* 伊地知家 (男爵家)

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