伊地知重順

伊地知重順の生涯

伊地知重順は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将で、薩摩国島津氏の家臣です。大隅国の国人である伊地知氏の11代当主として、その名を歴史に刻みました。

若き日の活躍

天正9年（1581年）、肥後国水俣城攻めにおいて、伊地知重賢の後見を受けながら脇大将として初陣を飾ります。この時、重順は類まれな武将としての才能を発揮し、その後の活躍を予感させました。天正12年（1584年）の肥後堅志田城攻めでは、150余人の兵を率いて先陣を切り、城への一番乗りという大功を立てます。さらに、天正14年（1586年）には島津家久に従い、豊後国利光城（鶴賀城）攻略でも先登を果たし、その直後の戸次川の戦いでも武功を挙げ、その名を轟かせました。

豊臣秀吉への降伏と文禄の役

天正15年（1587年）6月、豊臣秀吉に降伏するため上洛する島津義久に随行しました。その後、文禄の役では旗奉行と御船奉行という重要な役目を任され、朝鮮へと渡海します。しかし、文禄3年（1594年）に原因不明の勘気を被り、所領4,441石のうち大隅国の3,700余石を没収され、重順は浪人となってしまいます。栄光の絶頂から一転、失意の日々を送ることとなりました。

島津家への復帰と晩年

慶長6年（1601年）、高野山にいた重順は、上洛した島津忠恒に召し出され、500石の新恩地を与えられて島津家臣に復帰します。その後、物頭と日向国高岡の地頭相談役に任じられました。さらに慶長13年（1608年）には、日向国倉岡の地頭に任じられ、その地で領民のために尽力しました。

寛永19年（1642年）、重順は倉岡にて73歳でその生涯を閉じます。曾孫の重直の代になり、伊地知氏は祖である秩父氏に姓を改めました。重順の波乱に満ちた生涯は、後世に語り継がれることとなります。

参考文献

* 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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