堅志田城

堅志田城（かたしだじょう）

堅志田城は、現在の熊本県下益城郡美里町に存在した中世の日本の山城です。標高256mの尾根上に位置し、集落からの比高は約160mを誇ります。城の最高所には平坦地があり、東半分は削平されています。南西と北西の集落へと延びる尾根には、合計3条の堀切が設けられ、防御を固めていました。

歴史

堅志田城は、戦国時代の動乱の中で、数々の戦いの舞台となりました。その歴史を紐解いてみましょう。

1523年（大永3年）、阿蘇氏の一族である阿蘇惟長（菊池武経）は、弟の阿蘇惟豊との争いに敗れ、本拠を失いました。その後、惟長の子である阿蘇惟前がこの堅志田城に入城しました。当初、阿蘇惟前は相良氏と同盟を結んでいましたが、1543年（天文12年）には城は陥落し、阿蘇惟豊の支配下となりました。

1582年（天正10年）には、島津氏が勢力を拡大し、八代城まで進出。これにより、堅志田城は阿蘇領の最前線となります。しかし、阿蘇領が一宮の神領であったことから、島津義久は攻撃を躊躇し、神意を問うためにくじ引きを行いました。1583年（天正11年）10月5日、くじの結果、攻撃が決定されます。しかし、再び神領への攻撃に疑念を抱いた島津義久は、10月17日に薩摩郡山寺で再度神慮を占います。すると、白くじが出たため、攻撃は中止されました。

この結果、島津氏は堅志田城を直接攻撃する代わりに、押さえの城として花の山城を築き、戦線は膠着状態となりました。しかし、1585年（天正13年）に甲斐親直が亡くなると、甲斐親英が花の山城を攻撃し、戦いが再開。同年、堅志田城は陥落し、島津氏の番城となりました。その後、豊臣秀吉による九州征伐や肥後国人一揆の混乱の中で廃城となったと考えられています。

堅志田城は、その短い歴史の中で、戦国時代の武将たちの思惑が交錯する重要な場所でした。阿蘇氏の内紛、島津氏の侵攻という、激しい時代の波に翻弄されながらも、その姿は今もなお、人々の心に歴史の記憶を呼び起こします。

脚注

特になし

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典（43.熊本県）』、角川書店、1987年

関連項目

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