伊太祈曽駅

伊太祈曽駅（いだきそえき）

和歌山県和歌山市に位置する伊太祈曽駅は、和歌山電鐵貴志川線（駅番号09）における中心的な駅です。この駅には、路線の全車両を収容する車両基地と、和歌山電鐵の本社機能が併設されており、貴志川線の運行を支える要となっています。

駅名の由来と改称

現在の駅名である「伊太祈曽」は、当駅が存在する地名や近隣の伊太祁曽神社に由来しています。興味深いのは、神社名は「いたきそ」と読まれるのに対し、地名および駅名は改称される前から「いだきそ」と読まれている点です。

この駅名は、2006年（平成18年）4月1日に南海電気鉄道から和歌山電鐵へ貴志川線の事業が引き継がれた際に、「伊太祁曽駅」から現在の「伊太祈曽駅」へと漢字が一文字変更されました（「祁」から「祈」へ）。しかし、和歌山電鐵では駅名標や案内表示などの修正を段階的に進める方針のため、現在でも旧表記のまま残っている箇所が見られます。

駅構造と機能

伊太祈曽駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅です。かつて貴志川線には複数の有人駅がありましたが、2000年（平成12年）10月からの日前宮駅や岡崎前駅の無人化、そして和歌山電鐵への転換に伴う貴志駅の無人化が進んだ結果、現在では和歌山駅を除いて貴志川線内で唯一の有人駅となっています。

ただし、駅窓口の役割は一般的な乗車券販売とは異なり、主に一日乗車券や和歌山電鐵のオリジナルグッズ販売が行われています。乗車時の運賃精算は、多くの利用者が電車内で行う形態です。

運行面では、日中の列車の一部が当駅で折り返し運転を行います。また、当駅から貴志方面には列車が行き違うための設備がないため、すべての上下列車の交換が伊太祈曽駅で行われます。ホーム間の移動は構内踏切を利用します。駅構内にはトイレも設置されています。

前述の通り、駅構内には貴志川線の車両基地が設けられており、日中の運行に使用されない車両を含む全ての列車がここに留置されます。また、和歌山電鐵の本社がこの駅構内に置かれていることから、伊太祈曽駅は名実ともに貴志川線の中枢機能を担う重要な駅となっています。

歴史

伊太祈曽駅の歴史は古く、1916年（大正5年）2月15日に「山東駅（初代）」として開業しました。その後、運営会社の変遷を経て、1933年（昭和8年）8月18日の貴志駅までの延伸時に中間駅となり、同時に「伊太祁曽駅」と改称されました。1957年（昭和32年）には和歌山電気軌道、1961年（昭和36年）には南海電気鉄道の駅となり、2006年（平成18年）4月1日に和歌山電鐵へ移管された際に現在の「伊太祈曽駅」へと駅名表記が変更されました。

近年では、個性的な「猫駅長」が勤務する駅としても知られています。2012年（平成24年）1月5日には三毛猫の「ニタマ」が伊太祈曽駅長に就任し、猫専用の駅長室が設けられました。ニタマは貴志駅の「たま駅長」の代行を務めることもありましたが、たま駅長死去後は貴志駅専任となり「たまⅡ世駅長」を襲名しました。その後、2017年（平成29年）1月5日には三毛猫の「よんたま」が伊太祈曽駅駅長見習いとなり、2018年（平成30年）1月5日に伊太祈曽駅長に昇格。現在はたまⅡ世駅長が務める貴志駅の駅長代行も兼任しています。

利用状況

近年の利用状況として、2020年度（令和2年度）の調査では、1日平均乗降人員は447人となっています。

特徴的なチャイム

当駅に列車が進入する直前と、発車した直後の車内では、童謡「毬と殿様」をアレンジした特徴的なチャイムが流れます。

隣の駅

和歌山電鐵貴志川線における伊太祈曽駅の隣駅は以下の通りです。

* 吉礼駅 (08) - 伊太祈曽駅 (09) - 山東駅 (10)

（駅番号が括弧内に示されています）

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