伊太祁󠄀曽神社の概要
伊太祁󠄀曽神社(いたきそじんじゃ)は、
和歌山県和歌山市伊太祈曽に位置する神社です。旧称は山東宮で、式内社(
名神大社)、
紀伊国一宮として知られています。現在は
神社本庁の
別表神社となっています。
この神社は、
和歌山市内にある
日前神宮・國懸神宮、竈山神社と共に「三社参り」の対象となっており、多くの参拝者が訪れます。
祭神
主祭神は五十猛命(いたけるのみこと)で、別名は大屋毘古神とも呼ばれています。五十猛命は、素戔嗚尊の子であり、木の神として信仰されています。
配神として、左脇殿には大屋都比賣命(おおやつひめのみこと)、右脇殿には都麻津比賣命(つまつひめのみこと)が祀られています。この二柱は五十猛命の妹神であり、共に木の神として信仰されています。
歴史
伊太祁󠄀曽神社の創建時期は明確ではありませんが、『
続日本紀』に
702年の記述があることから、古くから存在していたことがわかります。当初は現在の日前宮の地に祀られていましたが、
垂仁天皇の時代に日前神・国懸神が祀られることになり、現在の地に移されました。その後、
713年に現在の場所に遷座したと伝えられています。
日本書紀によると、五十猛命は素戔嗚尊と共に
新羅から
出雲国へ渡り、素戔嗚尊から木の種を授かりました。そして、妹である大屋津姫命、都麻津姫命と共に日本中に木の種を蒔き、国を青山にしたとされています。この功績から、五十猛命は有功神(いさおしのかみ)とも呼ばれ、
紀伊国に祀られることとなりました。
中世には
新義真言宗の
根来寺との関係が深く、
神宮寺として興徳院が境内に建立されました。また、奥宮である丹生神社の隣には、
根来寺の
覚鑁が傳法院を建立しました。現在、興徳院は廃寺となっています。
明治時代には、国幣中社、官幣中社へと列格され、
1948年には
神社本庁の
別表神社に加えられました。
境内
境内には、本殿、左脇殿、右脇殿、拝所、拝殿、社務所、
磐座などがあります。また、境内には伊太祁曽神社古墳群があり、その中の一つの伊太祁曽神社1号墳は
和歌山市の指定
史跡となっています。他にも、蛭子社、氣生社、祇園神社、御井社、櫛磐間戸神社などの境内社があります。
境内から南東500mには、旧社地の三生神社があり、境外社として丹生神社があります。
主な祭事
卯杖祭:1月14日・15日に行われる祭りで、小豆粥による厄除けと、粥占いが行われます。
木祭り:4月第1日曜日に行われる、木への感謝を捧げる祭典です。
茅輪祭:7月30日・31日に行われる大祓の祭りで、茅の輪をくぐり罪穢れを祓います。
例祭:10月15日に行われる、稲の収穫を祝う祭典です。
文化財
和歌山市指定
史跡として伊太祁曽神社1号墳が指定されています。
現地情報
所在地:
和歌山県和歌山市伊太祈曽558
交通アクセス:
和歌山電鐵貴志川線 伊太祈曽駅より徒歩5分
伊太祁曽神社は、貴志川線の開通当初の終点であり、沿線住民の参拝を支えてきました。現在も、貴志川線の活性化を目指す「貴志川線の未来をつくる会」の事務局が神社内に置かれています。