伊東尹祐

伊東尹祐：日向の戦国大名、その興亡

伊東尹祐（いとう ただすけ）は、戦国時代の武将であり、日向国（現在の宮崎県）を支配した戦国大名、伊東氏の8代目当主です。室町幕府将軍・足利義尹（後の義稙）から偏諱を受け「尹祐」と名乗りました。父である伊東祐国が島津氏との戦いで命を落としたため、幼くして家督を継ぐこととなります。

若き日の奮闘と領土拡大

幼少のため、しばらくは目立った動きはなかったものの、成長すると父の仇である島津氏に復讐を誓い、領土拡大を目指し戦いを挑みました。その状況を見た大友氏の仲介により、島津氏と和睦、島津氏から日向三俣院1000町を割譲されることで、一時的に両者の争いは終結しました。しかし、その後も尹祐は勢力拡大を続け、都之城に兵を進めますが、北郷氏の抵抗に遭い撤退を余儀なくされます。

強引な振る舞いと内紛

尹祐は、美貌で知られた福永祐炳の娘を側室にしようとしますが、彼女は既に垂水又六と婚姻していました。しかし、尹祐は強引に二人を別れさせ、側室として迎え入れます。この強引なやり方は、家臣団に不信感を抱かせる要因となります。さらに、寵愛する福永氏の娘が懐妊すると、中村氏との間に生まれた実子を廃嫡しようと企て、家老の長倉若狭守祐正と垂水但馬守祐元が諫めたものの、聞き入れられませんでした。それどころか、綾地頭職を狙う稲津越前守重頼の讒言によって、長倉らと対立し、家臣団を二分する内紛「綾の乱」を招いてしまいます。

この内紛は、長倉と垂水が切腹することで一旦は収束しましたが、この混乱の中で誕生した祐充が後継者と定められました。

南部掌握と最期

島津氏や北郷氏との戦いを経て、尹祐は日向南部の大部分を支配下に置くことに成功しました。大永2年（1522年）には弟の祐梁・祐武を派遣し北郷氏の都之城を攻撃、翌年には北原氏と同盟し北郷氏の支城である野々美谷城を攻略しますが、その陣中で尹祐は没します。享年56歳でした。また、弟の祐梁も一月後に急逝したため、占拠した城を放棄せざるを得なくなりました。

その後の伊東氏

尹祐の死後、家督は子の祐充が継ぎましたが、幼少であったため、外戚である福永氏が専権を振るうようになります。尹祐の女色に溺れた行いが、後の伊東氏の分裂、家臣団の離反を招き、最終的には外戚の福永氏が薩摩島津氏に寝返るという事態を招き、伊東氏は日向の地を追われることとなります。尹祐の強引な性格と行動は、伊東氏の衰退を招いた要因の一つと言えるでしょう。

まとめ

伊東尹祐は、戦国時代の激動期に日向国で活躍した武将です。領土拡大に尽力した一方で、その強引な性格と行動が、家臣団の反発を招き、最終的には伊東氏衰退の遠因を作った人物として歴史に名を残しています。

参考文献

阿部猛; 西村圭子 編『戦国人名事典』（コンパクト）新人物往来社、1990年9月。ISBN 4-404-01752-9。

関連項目

『日向記』

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