伊根祭

伊根祭（いねまつり）

伊根祭は、京都府与謝郡伊根町で毎年7月下旬に開催される、300年以上の歴史を持つ伝統的な祭礼です。大漁と五穀豊穣を祈願し、別名「海の祇園祭」とも呼ばれています。

概要

伊根祭は江戸時代に、伊根の八坂神社の氏子が京都の八坂神社から牛頭天王を勧請したことが起源とされています。以来、大漁、海上安全、五穀豊穣を祈る祭として、地域の人々に大切にされてきました。現在では伊根町の夏の風物詩として、多くの観光客も訪れる賑やかな祭りとなっています。

祭りは伊根町の伊根地区、伊根湾周辺で2日間にわたって行われます。伝統的には7月27日と28日に行われていましたが、近年では参加者確保のため日程が変更されています。特に大漁の年に開催される「大祭」では、船屋台が登場し、その豪華絢爛な姿から「海の祇園祭」と呼ばれる所以となっています。普段の例祭に加えて船屋台4艘が化粧船と共に祭りを盛り上げます。

この祭りの「八坂神社祭礼船屋台行事」は、京都府登録無形民俗文化財に登録されています。

日程

1日目

亀島4区（亀山、耳鼻、立石、高梨）を中心に、各地区から太刀振り、神楽、稚児舞、神輿などが奉納されます。

主な行程（亀島4区）
場ならし → 阿字野神社 → 愛宕神社 → 亀山

夜には、八坂神社と八幡神社に各地区から舟を出し、提灯の明かりで文字を浮かび上がらせて奉納する夜宮が行われます。

2日目

本祭では、平田の稚児舞が奉納された後、亀島から出た一行が祭礼船・神楽船に乗って海上渡御を行います。高梨の宮の浜に乗りつけ、宮入りでは、トッケツを先頭に、神楽、新発意、棒振り、太刀振りが賑やかに練り込み、太刀振りと神楽が奉納されます。

主な行程（亀島4区）
丸一 → 海上渡御 → 八坂神社 → 八幡神社 → 蛭子神社（青島） → 惣代 → 区長（宿）

船屋台

伊根祭の最大の見どころである船屋台は、大祭の年にのみ登場します。準備から後片付けまで数日を要し、多額の費用もかかるため、大漁の年に区長協議によって開催が決定されます。大祭では、亀山から宝来山、耳鼻から稲荷山、立石から神楽山、高梨から蛭子山の4艘が出船します。

船屋台の上では歌舞伎や三番叟などが上演され、背後を豪華な見送りで飾られた船屋台が伊根湾内を巡航する姿は、まさに「海の祇園祭」の名にふさわしい光景です。

船屋台の起源は古く、1761年（宝暦11年）に伊根湾で捕獲された巨大な鯨の収益を元に建造されたと伝えられています。7艘の和船（ともぶと）を横に連結して土台とし、その上に屋台が組まれています。釘を一切使用しない独特の建造方法も特徴で、屋根の色や見送りの柄などは地区ごとに異なります。船屋台は舞台としても機能し、歌舞伎や漫才などが上演されます。

船屋台には、それぞれ「化粧船」と呼ばれる伝馬船を擬装した船が付き添います。これは、船屋台で上演される歌舞伎などに出演する役者らが着替えや化粧をするための船として用いられます。

交通アクセス

鉄道：京都丹後鉄道宮豊線 天橋立駅 → 丹海バス 伊根
車：京都縦貫自動車道 宮津天橋立IC → 国道176号 → 国道178号

参考文献

伊根町誌編纂委員会 編 『伊根町誌』下巻 1985年、545-555頁。

関連項目

京都府指定・登録文化財一覧
おべっさん
伊根町

外部リンク

伊根祭 - 伊根町観光協会
伊根祭 - 京都府

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