伊藤博邦

伊藤博邦

伊藤博邦（いとう ひろくに、旧字体：伊藤󠄁 博󠄁邦󠄂、1870年3月3日 - 1931年6月9日）は、明治時代から昭和時代初期にかけて活躍した日本の宮内官僚、政治家であり、華族の身分を持つ人物です。最終的な位階・勲等は贈正二位勲一等公爵でした。

生涯

伊藤博邦は、長州藩士である井上光遠（井上馨の兄）の四男として生まれました。幼少の頃に伊藤博文の養子となり、8歳でその養嫡子となります。実兄には、井上馨の養嫡子となった井上勝之助がいます。明治40年（1907年）に勇吉から博邦へと改名しています。

明治42年（1909年）11月30日、養父である伊藤博文の死去に伴い、公爵を襲爵し、貴族院公爵議員に就任。貴族院では火曜会に所属し、その議員として活動を続けました。

学習院を卒業後、ドイツ帝国へ留学し、帰国後の明治24年（1891年）に式部官に就任。その後、式部次長、式部長官などの要職を歴任し、大喪使事務官、大礼使参与官なども務めました。宮中における儀式や典礼に深く関与し、その運営に貢献しました。

式部官としての職務の傍ら、日本銀行監事、生活改善同盟会会長、日独文化協会会長、楠公会会長、厳島保勝会総裁、麻布区教育会会長など、多岐にわたる役職を兼任し、社会の発展や文化交流に尽力しました。

栄典

伊藤博邦は、その功績により、数々の位階と勲章を授与されています。

位階

1910年（明治43年）7月11日 - 従三位
1916年（大正5年）7月20日 - 正三位
1923年（大正12年）7月31日 - 従二位
1931年（昭和6年）6月9日 - 正二位（没後追叙）

勲章等

1909年（明治42年）6月28日 - 勲三等瑞宝章
1926年（大正15年）2月25日 - 勲一等瑞宝章
1928年（昭和3年）12月28日 - 勲一等旭日大綬章

外国勲章佩用允許

数多くの外国勲章も受章しており、国際的な交流にも貢献しました。

ロシア帝国：神聖アンナ第二等勲章
ドイツ帝国：王冠第二等勲章
イタリア王国：聖マウリッツィオ・ラザロ第二等勲章
大英帝国：ヴィクトリア第二等勲章
プロイセン王国：赤鷲聖章附第二等勲章
ベルギー王国：レオポルド第二等勲章
オランダ王国：オラニエ＝ナッサウ第二等勲章
フランス共和国：レジオンドヌール第三等勲章
ロシア帝国：神聖スタニスラス第一等勲章
プロイセン王国：王冠第一等勲章
オーストリア＝ハンガリー帝国：フランソアジョゼフ星章附第二等勲章
ブラウンシュヴァイク公国：ハインリヒデスレーウェン第一等勲章
ベルギー王国：レオポール第二世第一等勲章
スウェーデン王国：北極星第一等勲章
ルーマニア王国：王冠第一等勲章
スペイン王国：メリトシヴィル勲章グランクロア

親族

伊藤博邦は、多くの親族に恵まれました。

実父：井上光遠（1828–1869） - 井上馨の長兄
養父：伊藤博文（1841–1909）
養母：伊藤梅子（1848–1924）
叔父：井上馨（1836–1915）
実兄：井上勝之助（1861–1929）
妻：伊藤多満子（1881–1927） - 高島嘉右衛門長女
長男：伊藤博精（1899–1962） - 公爵、宮内官
次男：清水博春（1901–1931） - 清水資治養子
三男：伊藤博通（1902–1993）


伊藤博邦は、明治から昭和にかけて、日本の近代化に貢献した人物の一人として、その名が記録されています。

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