伊藤貞次

伊藤貞次（いとう ていじ）

伊藤貞次（1878年1月17日 - 1943年）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家、政治家です。第15代広島市長を務め、広島商工会議所顧問も歴任しました。族籍は新潟県平民です。女優・歌手の伊藤蘭は曽孫、俳優の水谷豊は伊藤蘭の夫、女優の趣里は玄孫にあたります。

経歴

新潟県岩船郡関谷村（現在の関川村）に生まれました。父の東蔵を早くに亡くし、一家は困窮しましたが、母の実家である渡邊家に身を寄せ、農作業に励みました。1896年に家督を相続し、1897年3月には東京数学院中学全科を卒業。その後、鉄道局運輸課や北海道庁で職務に就きました。

1899年7月には大蔵省文官普通試験に合格。同年8月には北海道庁鉄道書記試験にも合格しました。1905年7月には早稲田大学専門部法律科を卒業し、北海道庁、農商務省、富山県などで官僚としてキャリアを積みました。富山、宮城、山形の各県で理事官を歴任した後、1921年に函館区助役、区制廃止後は函館市助役に就任。1926年には広島市助役に転じ、1930年5月16日に広島市長に就任しました。

市長在任中には、1932年に宇品港が広島港と改称されたほか、太田川改修工事や広島港修築が開始されるなど、広島の都市基盤整備に尽力しました。1934年5月15日に市長を退任。全国市長会会長も務めました。

退任後は満洲で土地建物事業を経営し、東京吉祥寺に大邸宅を構えました。

職歴

1897年7月 - 鉄道局運輸課傭
1898年10月 - 北海道空知支庁第二課事業生
北海道庁属より農商務省属
1914年3月 - 富山県属に転じ勧業課長。同年5月富山県理事官勧業課長に任じ、次いで宮城県勧業課長、山形県商工課長兼林務課長
1921年9月 - 函館区助役
1926年12月 - 広島市助役
1930年5月 - 広島市市長

人物

疑獄事件

1934年2月18日、『中国新聞』は伊藤貞次が広島市土木疑獄事件に関与している疑いがあると報じました。錦華人絹誘致に関する謝礼金受領疑惑が浮上し、検事局から出頭を求められました。さらに、太田川改修同盟会の資金不明朗問題や、藤田一郎からの借用金問題なども取り沙汰され、辞任へと追い込まれました。

人柄

読書と野球を趣味とし、禅宗を信仰していました。広島市水主町、西平塚町、大連市長春台に住んでいました。

家族・親族

父：伊藤東蔵
母：タカ（1854年 - ?、新潟、渡邊半四郎の三女）
長男：太郎（1901年 - 1956年、川崎市役所勤務、伊藤蘭の祖父）
太郎の妻：ハマ（1904年 - ?、山形、奈良村正則の三女）
太郎の長男：英邦（1922年 - ?、伊藤蘭の父）
男：貞彦（1907年 - ?、伊藤土地建物事務所主任）
二女
養子：榮（1908年 - ?、新潟、渡邊逸作の二女）

親戚

長男の妻の父：奈良村正則（弁護士、山形県会議員、山形市会議員）

略系図

（省略）

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