伊藤述史

伊藤述史

伊藤述史（いとう のぶふみ、1885年8月19日 - 1960年4月3日）は、日本の外交官であり、情報局総裁、貴族院議員などを歴任しました。その国際的な活動と、戦後の公職追放という激動の時代を生き抜いた人物です。

人物

愛媛県出身の伊藤は、東京高等商業学校（現在の一橋大学）を卒業後、外務省に入省しました。その後、リヨン大学に留学し、語学の才能を開花させます。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語など、数々の言語を習得し、「語学の天才」と称されました。法学博士の学位も持ち、妻はフランス人です。

国際連盟では、満州事変前後の時期に政府代表代理として活動し、日本の国際連盟脱退を実現させました。1937年からは、支那や欧米諸国を歴訪する特命全権公使として活躍し、日独伊三国同盟推進派であった大島浩駐ドイツ大使や白鳥敏夫駐イタリア大使の説得にもあたりました。1940年からは、内閣情報部長や初代内閣情報局総裁を務め、情報統制を担いました。その後、貴族院議員となりましたが、戦後GHQによって公職追放処分を受けました。追放後には、GHQ参謀第2部（G2）直轄のキャノン機関傘下で伊藤機関を組織しました。1953年には、公職追放解除後、第3回参議院議員通常選挙に全国区から無所属で立候補しましたが、落選しました。

略歴

1885年：愛媛県新居郡金子村に生まれる。
旧制西条中学校（後の愛媛県立西条高等学校）に入学。
1907年：神戸高等商業学校（後の神戸大学）を卒業。
1909年：東京高等商業学校（後の一橋大学）専攻部を卒業、外務省に入省。同期には有田八郎、岡部長景、徳川家正、来栖三郎らがいました。
1909年：領事館補としてリヨンに在勤し、リヨン大学に留学。その後、イタリア、フランス、スイス、支那、オランダ、ドイツなどで勤務。
1927年：国際連盟帝国事務局次長に就任。
1933年：在ポーランド特命全権公使に任命。
1937年：特命全権公使として、支那、欧米諸国を歴訪。
1940年8月：内閣情報部長に就任。
1940年12月：情報局総裁に就任。
1945年10月5日：貴族院議員に就任（1946年5月28日辞任）。
1946年：公職追放となる。

栄典

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

著書

『日本の外交』（三省堂、1940年）
『新アジア大観 / 伊藤述史編』（アジア連絡協会、1953年）
『La clause de la nation la plus favorisée : (droit international économique) / N. Ito』（Les Editions internationales、1930年）
『La protection des minorités / N. Ito』（L. Chauny et L. Quinsac、1931年）
『New Japan : six years of democratization / N. Ito』（Japan Peace Study Group、1951年）

論文

「仏教の戦争観」（一橋論叢（一橋大学）41巻3号、1959年3月号）

脚注

参考文献

『国政選挙総覧：1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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