伊達宗定

伊達宗定（だてむねさだ）は、明治3年11月4日（1870年12月25日）、伊予吉田藩最後の藩主・伊達宗敬の子として誕生しました。母は、宗敬の先代である伊達宗孝の娘でした。宗定の幼名は鶴若です。

明治9年（1876年）、わずか6歳にして家督を相続、伊達家10代当主となります。これは、幼いながらも宗定が伊達家の後継者として期待されていたことを示しています。その後、明治17年（1884年）には子爵の位を授かりました。華族として、宗定は朝廷にも仕え、侍従を務めた経歴も持ちます。

宗定の妻は、元鶴田藩主・松平武聰の娘である清子です。二人の間には、宗起と定宗の二人の男子が誕生しました。

昭和12年（1937年）、宗定は長男の宗起に家督を譲り隠居しました。しかし、昭和15年（1940年）、宗起が34歳という若さで亡くなったため、宗定は分家していた次男の定宗に家督を相続させました。これは、家系の維持という重要な責任を負う決断であったと言えるでしょう。

宗定は、日本の近代化が進む中で、家督相続や隠居といった重要な役割を担いました。華族としての立場を維持しながら、時代に合わせて柔軟な対応をとった人物であったと推察できます。その生涯は、激動の時代の流れの中で、伝統を守りつつ変化に対応しようとした、伊達家の当主の苦悩と決断を象徴的に示していると言えるでしょう。

宗定は、昭和18年（1943年）3月10日に亡くなりました。享年72歳でした。戒名は養徳院殿大安宗定大居士です。

宗定の栄典としては、明治28年（1895年）12月20日に正五位、大正4年（1915年）12月28日に従三位、大正14年（1925年）1月14日には正三位に叙せられました。これらの叙位は、宗定が朝廷において一定の地位と貢献を果たしていたことを示すものです。

宗定の親族には、妹の婿である兵頭正懿、叔父にあたる片倉健吉、叔母の夫である伊達宗曜などがいます。これらの親族関係からも、宗定の出自や家系の歴史を知る手がかりが得られます。

伊達宗定の生涯は、明治維新後の激動期を生き抜いた華族の代表的な例として、日本の歴史を理解する上で重要な意味を持ちます。家督相続、隠居、そして家系の維持といった、彼を取り巻く状況と、その中で下された決断は、歴史の大きな流れの中で個人の運命がいかに翻弄されるのかを物語っています。また、彼の栄典や親族関係といった詳細な記録は、当時の社会構造や華族社会の実態を垣間見ることができる貴重な資料となっています。

もう一度検索