伊達政宗の乱

伊達政宗の乱について

伊達政宗の乱（だてまさむねのらん）は、室町時代の応永7年（1400年）から発生した戦乱で、主に陸奥国を中心とし、出羽国や武蔵国でも戦いが行われました。この乱は、関東公方である足利満兼が実弟を奥州へ送り込むことで奥羽に対する支配を強化しようとしたことに端を発し、伊達政宗がこれに反発した結果、鎌倉府に対する反乱へと進展しました。

乱の経緯

伊達政宗の乱の背景には、元中9年（1392年）に廃止された奥州管領職があります。この廃止以降、吉良・畠山・斯波・石塔の奥州四管領が奥羽両国を支配することになりました。応永5年（1398年）には、将軍足利義満が奥州探題に大崎詮持を任命して奥州への影響力を強化しました。

翌年、鎌倉府（室町幕府に対抗した政治組織）は、支配を強化するために足利満直と足利満貞を奥州に下向させ、奥羽の諸侯に領土割譲を要求しました。この要求に対して伊達政宗は不満を抱き、大崎氏や斯波氏とともに無断で帰国してしまいます。この動きに対抗して、鎌倉府は結城満朝を差し向けて大崎詮持を謀殺しました。

政宗は結城満朝の手から逃れ、米沢へと逃げました。一方、鎌倉府は新田岩松氏を大将として伊達政宗討伐の軍を編成しますが、途中で岩松氏は敗北し、状況は混沌としていきます。応永7年5月には、関東管領の上杉氏憲を総大将とする28万の兵が赤館を攻撃しましたが、逆に大敗を喫し、将の一人も生け捕りになってしまいました。

結果と影響

その後、鎌倉府は兵を増強し、9月には停戦の提案があったものの、伊達政宗は降伏の意思を示しました。応永9年（1402年）には、鎌倉府が出羽国の諸氏に、伊達氏の苅田城を包囲させるという手段に出ます。しかし、最終的には伊達氏や大崎氏の忠勤を認められ、政宗には美濃国の一部や越後の一帯が与えられました。

この一連の出来事は、同時期に発生した応永の乱との関係も深く、足利義満を挟撃するために準備していた足利満兼は、北の対応が必要になり、上杉氏憲に上洛を引き留められるなど、複雑な背景を持っていました。また、伊達氏と斯波氏は足利義満と連絡を取り合って行動しており、鎌倉府の支配を無視して室町幕府との直接の関係を築く動きは、東国全体に広がりました。

したがって、伊達政宗の乱は単なる局地的な戦いではなく、鎌倉府対室町幕府の権力争いの一環として波及し、さらには他の反乱を呼ぶ引き金ともなったのです。特に伊達持宗の乱や上杉禅秀の乱など、以後の動乱につながっていく様相を見せました。

乱と南朝との関係

乱の間に高田の宮殿に関する記述が見受けられ、これは南朝の動乱とも関わりがあるとされています。しかし、歴史的には直接の関連は薄いとされるにもかかわらず、南朝の落胤ともされ、再びの蜂起を引き起こす一因と推察されています。こうした多面的な要素こそが、伊達政宗の乱の魅力を醸し出しているのです。

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