奥州探題

奥州探題（おうしゅうたんだい）

奥州探題とは、室町時代から戦国時代にかけて、室町幕府が設置した役職の一つであり、主に陸奥国を統括していました。ここでの「奥州」という言葉は、現代の青森、岩手、宮城、福島を含む地域を指すことが一般的です。また、出羽地域は「羽州」と呼ばれることが多く、この両方をまとめて指す場合に「奥羽」という表現が使われます。

背景と設置の経緯

奥州探題の成立にはいくつかの歴史的背景が存在します。まず、前身としては「奥州総大将」や「奥州管領」がありました。元中9年（1392年）に、室町幕府の第3代将軍足利義満は鎌倉公方である足利氏満と和解し、陸奥と出羽の両国が鎌倉府の管轄下に加わることになりました。この結果、奥州管領の役職は廃止されることとなり、これ以降、陸奥と出羽の国人たちは鎌倉府に従う義務が生じました。

その後、応永6年（1399年）には、足利満兼が弟たちを東北に派遣しました。しかし、幕府の権威が低下し、関東や陸奥での国人たちによる力の増大が見られるようになりました。これに対抗するため、幕府はとくに京都の扶持衆として有力国人たちを直接従わせようとしていきました。

大崎氏と探題職の世襲

応永7年（1400年）には、大崎詮持が奥州探題として任命され、以降、この職は大崎氏が世襲することになりました。大崎氏は、奥州管領を務めた斯波氏の子孫とされ、鎌倉府に対抗するためにこの地位を利用したと言われています。しかし、陸奥国では有力国人たちが守護と同等の権力を持っており、おまけに南部は鎌倉府の支配下にあったこともあって、大崎氏の権力は次第に限られていきました。そのため、大崎氏は次第に一つの有力国人として落ち込んでいく結果となりました。

伊達氏の登場

大永11年（1514年）には、伊達稙宗が陸奥国守護に任ぜられ、大崎氏の世襲的な奥州探題制は事実上無力化しました。伊達氏は大崎氏を武力で制圧し、支配下におくようになりました。この段階で、奥州探題が設置されているために守護が設置されていない状況が続きました。大崎氏以外の国人たちは、伊達氏も含めて「国人」として扱われていましたが、これが書札礼などの摩擦の原因にもなりました。

伊達氏は奥州探題に就任したいとの要請をしましたが、室町幕府は非足利一門である伊達氏を受け入れることはできず、反対に守護職に任命することで妥協しました。戦国時代に入ると、奥州探題は形式的な役職として存続し、弘治元年（1555年）には伊達晴宗が任命されました。伊達氏は大崎氏から探題職を引き継ぐ形で、実質的には総力を持つ領主としての地位を確立することになります。

探題制の終焉

室町幕府が滅亡した後も、伊達政宗は自らを奥州探題と名乗り続けましたが、天正18年（1590年）に豊臣政権に従属することで、探題の称号を返上しました。一方、大崎氏は従わず滅ぼされ、奥州探題の制度は名実ともに消滅しました。また、斯波家兼の子供である斯波兼頼が出羽国の按察使として派遣されたことがきっかけで、後に羽州探題と呼ばれました。その子孫は最上氏となります。

まとめ

奥州探題は、室町幕府の時代において陸奥国の統治を目的として設置され、その後大崎氏から伊達氏に交代する過程を経て、戦国時代を通じて役職として存続しましたが、最終的にはその役割を終えました。

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