休蘭尸逐侯鞮単于

休蘭尸逐侯鞮単于（きゅうらんしちくこうていぜんう）

休蘭尸逐侯鞮単于（? - 93年）は、後漢時代の南匈奴の単于であり、姓は虚連題氏、名は屯屠何（とんとか）という。彼は醢落尸逐鞮単于の子、湖邪尸逐侯鞮単于の弟にあたる。

生涯

章和2年（88年）、伊屠於閭鞮単于の死後、屯屠何が単于の位を継承した。当時の北匈奴は内乱と飢饉、蝗害に見舞われ、多くの人々が南匈奴に帰順してきた。単于となった屯屠何は、北単于の本拠地を併合するべく、後漢朝廷に上奏した。

後漢では章帝が崩御し、竇太后が政治を掌握していた。竇太后は屯屠何の上奏を受け、執金吾の耿秉（こうへい）に意見を求めた。耿秉もこの計画に賛同したため、耿秉を征西大将軍、車騎将軍の竇憲（とうけん）を副将軍として北伐を命じた。

永元元年（89年）、竇憲と耿秉率いる4千騎、左谷蠡王師子の1万騎は朔方郡の雞鹿塞（けいろくさい）から出撃、南単于屯屠何の1万余騎は満夷谷（ばんいこく）から、度遼将軍の鄧鴻（とうこう）と縁辺義従の羌胡8千騎、左賢王安国の1万騎は稒陽塞（こようさい）からそれぞれ出発し、全軍は涿邪山（たくやさん）で合流した。竇憲は副校尉の閻盤（えんばん）、司馬の耿夔（こうき）、耿譚（こうたん）に左谷蠡王師子、右呼衍王須訾（うこえんおうしし）らを率いさせ、北単于を稽落山（けいらくざん）で打ち破り、北単于を敗走させた。追撃は私渠比鞮海（しきょひていかい）にまで及び、名王以下3万3千余級を斬首、生口、馬、牛、羊、ラクダなど100万頭以上を鹵獲する大戦果を挙げた。この戦いで温犢須（おんどくしゅ）、日逐（じちく）、温吾（おんご）、夫渠王の柳鞮（りゅうてい）ら81部、20余万人が降伏した。竇憲と耿秉は燕然山（えんぜんざん）に登り、国境から3千余里奥まで進軍した証として記念碑を建立した。

永元2年（90年）、単于屯屠何は再び北単于庭を撃滅したいと上奏し、左谷蠡王の師子らを派遣して左右両部の8千騎を率いさせ、雞鹿塞から出撃させた。使匈奴中郎将の耿譚は従事を派遣して師子らを指揮・援護し、涿邪山に至った。そこで輜重を留め、軍を二手に分けた。左部は北進して西海を過ぎて河雲の北に至り、右部は匈奴河水の西の天山をめぐり、南進して甘微河を渡り、二軍は合流して北単于を夜襲し包囲した。北単于は大いに驚き、精鋭千余騎を率いて応戦したが敗れ、軽騎数十騎を率いて逃走した。

永元3年（91年）、北単于は右校尉の耿夔に再び敗れ、行方不明となったため、代わりに弟の右谷蠡王於除鞬（おじょけん）が単于となった。

永元5年（93年）、北単于の於除鞬が背いて北へ帰ろうとしたため、和帝は将兵長史の王輔（おうほ）に千余騎をつけ、使匈奴中郎将の任尚（じんしょう）と共に追撃させ、帰順を促すように説得したが、帰順するところを斬殺し、その人民を滅ぼした。同年、休蘭尸逐侯鞮単于屯屠何が死去し、従弟の左賢王安国（安国単于）が単于を継いだ。

参考文献

* 『後漢書』（竇融列伝、南匈奴列伝）

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