会津本郷焼

会津本郷焼

会津本郷焼（あいづほんごうやき）は、福島県大沼郡会津美里町（旧会津本郷町）周辺を産地とする陶器および磁器です。会津若松市にも窯元が存在します。毎年8月第一日曜日には「会津本郷せと市」が開催され、賑わいを見せています。

歴史

会津本郷焼の歴史は、豊臣政権下の1593年、会津地方の領主であった蒲生氏郷が播磨国から瓦職人を呼び、鶴ヶ城の屋根瓦を製造させたことに始まります。江戸時代前期の1645年には、会津藩主の保科正之が尾張国瀬戸から陶工・水野源左衛門を招き、本郷村で陶土を発見したことで、本格的な焼き物の基礎が築かれました。

1800年には、藩命により佐藤伊兵衛が有田に潜入し技術を習得。本郷村の大久保陶石を使った磁器づくりに成功し、現在の会津本郷焼の原型が完成しました。水野源左衛門は「陶祖」、佐藤伊兵衛は「磁祖」として、毎年9月16日の陶祖祭でその遺徳が偲ばれています。

幕末の戊辰戦争（会津戦争）では、会津も戦場となり作陶は大きな打撃を受けましたが、その後復興を遂げました。明治時代には「会津本郷焼」の呼称が定着し、海外への輸出も行われるようになりました。

1993年には、通商産業省（現・経済産業省）から伝統的工芸品産地として指定。2021年には地域団体商標にも登録されています。明治時代の最盛期には100を超える窯元が存在しましたが、2021年時点では13窯となっています。

特徴

会津本郷焼は、陶石を原料とする磁器産地としては関東以北で唯一です。原料となる大久保陶石は、風雨に一年以上晒した上で砕き、粘土として練り上げるという手間をかけています。そのため、厚手で丈夫な仕上がりが特徴です。色合いは用途に応じて様々で、多様な表現が可能です。

会津本郷焼で使われる釉薬の一つに「飴釉（あめゆう）」があります。飴釉は、文字通り飴色で光沢があり、この飴釉を使った代表的な陶器が「にしん鉢」です。にしん鉢は、古くからニシンの山椒漬け専用として使われてきました。

また、磁器の窯元も多く、特に御弓新田（みゆみしんで。現在の会津美里町新町）にある富三窯は、地域で唯一の磁器窯元です。佐竹富太郎の次男である富三郎が明治5年に分家して富三窯を開窯。4代目の富三は、日本原産の椿をモチーフにした染付の技術・技法で、会津焼の伝統を現代に活かすデザインを創り出しています。

現在では、花瓶のほか、土瓶、皿などの食器、急須、マグカップ、箸置き、香合など、様々な製品が作られています。

関連情報

会津本郷焼公式サイト
会津美里町-本郷焼窯元マップ
日本のやきもの/会津本郷焼-日本セラミックス協会

関連項目

陶磁器
民藝運動
赤べこ
* 起き上がり小法師

もう一度検索