伝習録

『伝習録』（でんしゅうろく）は、中国の明代に王陽明によって確立された儒学の一派、陽明学の入門書として知られています。王陽明自身は著作をほとんど残さなかったため、『伝習録』は彼の思想を理解する上で非常に重要な文献です。

構成

『伝習録』は、王陽明の弟子たちが彼の言葉や手紙、日々の行いを記録し、編纂したものです。全3巻で構成されており、王陽明の思想のエッセンスが凝縮されています。

日本への影響

『伝習録』は、1614年に日本に伝えられました。江戸時代を通じて各地の儒学塾で講義され、多くの思想家や学者に影響を与えました。特に、大塩平八郎、西郷隆盛、植木枝盛といった幕末から明治にかけて活躍した人物たちは、『伝習録』に深く傾倒し、その思想を自らの行動原理としていました。

豊後日田の広瀬淡窓が創設した咸宜園では、朱子学の教科書である『近思録』とともに、学業の最終段階で学ぶべきテキストとして用いられていました。

日本語版文献

現在、様々な日本語訳の『伝習録』が出版されています。主なものを以下に示します。

近藤康信訳著 『伝習録　新釈漢文大系13』 明治書院
鍋島亜朱華編 『伝習録　新書漢文大系22』 明治書院
山田準/鈴木直治編訳 『傳習録』 岩波文庫
山田準 訳著 『伝習録講話』 明徳出版社
溝口雄三訳『伝習録』 中央公論新社
吉田公平 『王陽明「伝習録」を読む』 講談社学術文庫
吉田公平編訳・解説 『伝習録』 角川書店
吉田公平 『伝習録 「陽明学」の真髄』 たちばな出版
吉田公平編訳 『伝習録 「陽明学」の真髄』 講談社
安岡正篤訳著 『傳習録』 明徳出版社
『語録　王陽明全集第一巻』 明徳出版社
『王陽明全集抄評釈』 岡田武彦全集 明徳出版社
* 中田勝 『王陽明　徐愛 「伝習録集評」』 鈴木利定閲、明徳出版社

これらの文献を通して、現代の私たちも王陽明の思想に触れることができます。

まとめ

『伝習録』は、単なる古典としてだけでなく、現代においても私たちの生き方や考え方に示唆を与えてくれる書物です。自己の内面を見つめ、真の知識を追求することの重要性を教えてくれるでしょう。

もう一度検索