伽藍岳

伽藍岳：由布市に位置する活火山

大分県由布市にそびえる伽藍岳は、標高1,045mの成層火山であり、活火山として知られています。別名「硫黄山」とも呼ばれ、その存在は別府市周辺の温泉地帯にも大きな影響を与えています。

地理的位置と周辺環境

伽藍岳は、鶴見岳（標高1,375m）を主峰とする火山群の北端に位置し、別府湾に伸びる鉄輪断層に沿って、別府八湯の幾つか（明礬温泉、鉄輪温泉、柴石温泉、亀川温泉）が分布しています。西側の山腹には塚原温泉があり、温泉地帯と密接な関係にあることが分かります。

火山活動の歴史

伽藍岳は約9,500年前よりもやや古い時代に形成されたと考えられています。歴史を紐解くと、1,200年前と1,000年前には小規模な水蒸気爆発が発生し、火山灰が周辺に堆積した記録が残されています。1,000年前の噴火では土石流も発生したと推測されています。最も古い噴火記録は、867年（貞観9年）に遡ります。

近年の火山活動と監視体制

867年の噴火以降、大きな噴火は確認されていませんが、活発な地熱活動は続いています。中腹には直径300mの円弧状の火口地形があり、噴気活動が活発です。かつては、火口周辺でシリカの露天掘り鉱山（別府白土砿業株式会社塚原鉱山）が操業されていましたが、現在は廃坑となっています。

1995年には、パワーショベルによる作業中に火口付近が陥没し、熱泥が噴出する現象が発生しました。この熱泥噴出域は年々拡大し、現在では直径10メートル以上の火口を形成しています。気象庁はこの熱泥噴出域を泥火山として分類しています。この地熱活動は、近隣の明礬温泉の熱源にもなっていると推測されています。

近年では、安全確保のため、火口周辺への立ち入りが制限され、有料化されています。また、火山活動の監視体制も強化されており、気象庁は短周期地震計、GPS、検知網などを設置し、大分県も監視カメラを設置して、伽藍岳の活動を常時監視しています。地下5kmには低比抵抗領域があり、マグマの存在を示唆するデータも得られています。

まとめ

伽藍岳は、温泉地帯と密接に関連した活火山であり、歴史的な噴火記録と、現在も続く活発な地熱活動、そして強化されている火山監視体制は、この山の持つ潜在的な力と、人々の生活との関わりを示しています。今後も、継続的な観測と研究が重要となるでしょう。

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