鉄輪温泉

鉄輪温泉（かんなわおんせん）

大分県別府市に位置する鉄輪温泉は、別府八湯の中でも特に湯治場の雰囲気を色濃く残す温泉地です。別府温泉全体の源泉の大部分がこの鉄輪に集中しており、その湧出量は日本最大級を誇ります。レトロな町並みと、別府地獄めぐりの主要な観光スポットが点在するのも特徴です。

概要

別府八湯は、西部の火山帯から東部の別府湾に向けて広がる扇状地に湧き出る自然湧出泉によって構成されています。江戸時代後期には、農閑期を中心に多くの湯治客が訪れていました。明治時代以降、別府港や鉄道、道路の整備が進み、観光地として発展しました。鉄輪温泉では、高温の温泉が湧き出ており、気液分離装置によって温泉水と温泉蒸気に分けられています。温泉水は各集落へ、高温の蒸気は「湯けむり」として空に放出され、独特の温泉地の雰囲気を醸し出しています。

特に鉄輪温泉は、明礬温泉と並んで湯治場の色彩が強く、古い木賃宿や旅籠を起源とする宿泊施設が今も残っています。路地を挟んで小さな湯治宿が立ち並ぶ様子は、レトロで情緒豊かな景観を作り出しています。また、地区内には住民が管理する共同浴場が点在しています。鉄輪温泉地区一帯から立ち上る湯煙の景観は、明礬温泉地区とともに「別府の湯けむり・温泉地景観」として、2012年に重要文化的景観に選定されました。

歴史

鉄輪温泉の歴史は、鎌倉時代に一遍上人が念仏行脚の途中でこの地を訪れたことに始まります。一遍上人は、荒れ狂う地獄のような場所を鎮め、湯治場（鉄輪むし湯）を開いたと伝えられています。そのため、鉄輪むし湯には一遍上人像が祀られており、共同浴場の一つは「上人湯」と名付けられています。上人像の身体の悪い部分と同じ箇所に温泉をかけると、病気が良くなると言われています。毎年9月には、鉄輪湯あみ祭りが開催され、温泉山永福寺で一遍上人に感謝する湯あみ法要が執り行われます。2009年には、鉄輪温泉地区温泉湯けむり重点景観計画が策定され、2012年には明礬温泉とともに重要文化的景観に選定されました。

共同浴場

鉄輪温泉には、鉄輪むし湯をはじめ、「上人湯」、「地獄原温泉」など、9ヶ所の共同浴場があります。

鉄輪むし湯：ナトリウム塩化物泉、500円、6:30〜20:00（第4木曜日定休）
上人湯：塩化物泉、100円、10:00〜17:00
渋の湯組合温泉：塩化物泉、100円、6:30〜21:00
地獄原温泉：含ホウ酸食塩泉、100円（賽銭箱へ）、6:30〜21:00
すじ湯温泉：塩化物泉、100円（賽銭箱へ）、6:30〜17:00
熱の湯温泉：ナトリウム塩化物泉、無料、6:30〜21:00
谷の湯：塩化物泉、80円、6:30〜22:00
ひょうたん温泉：塩化物泉、700円、9:00〜25:00
夢たまて筥：塩化物泉、500円、7:00〜26:00

地獄めぐり

鉄輪温泉は、別府観光の目玉である地獄めぐりの拠点でもあります。全部で8つの地獄があり、有料で入場できます。2日間有効の共通観覧券も販売されています。

地獄蒸し

地獄蒸しは、江戸時代から湯治客に親しまれてきた鉄輪の名物料理です。高温の温泉蒸気を利用して調理します。「地獄蒸し工房 鉄輪」では、地獄蒸し料理を体験できます。

湯の川

温泉街には「湯の川」と呼ばれる川が流れ、各源泉から流れ出た温泉水が集まって、勢いよく流れ落ちています。

湯雨竹

湯の川の近くには、「湯雨竹（ゆめたけ）」という温泉の冷却装置があります。これは、源泉の温度が100℃にもなる温泉の温度を下げるために、加水せずに温度調節を行うためのものです。

所在地

大分県別府市大字鉄輪

交通アクセス

鉄道：JR別府駅西口からタクシーまたはバス
バス：亀の井バス（路線番号2、5、7）「鉄輪」バス停下車
飛行機：大分空港からバスまたはタクシー
空港バス：観光港別府交通センター下車後タクシー利用
福岡空港から高速バスで鉄輪口バス停下車

高速バス・観光バス

最寄りのバス停は「鉄輪口」または「鉄輪②」です。

別府 - 福岡「とよのくに号」（西日本[[鉄道]]と亀の井バスが共同運行）
別府・大分 - 福岡「日清号」（日清観光が運行）
大分・別府 - 長崎「サンライト号」（大分交通、大分バス、長崎自動車、長崎県交通局が共同運行）
別府 - 湯布院 - 阿蘇 - 熊本「九州横断バス」（九州産交バスが運行）
別府 - 湯布院「観光快速ゆふりん」（亀の井バスが運行）

関連情報

別府八湯温泉道
別府地獄めぐり
鉄輪旅館組合公式サイト
別府市役所 - 鉄輪むし湯
別府市役所 - 別府の湯けむり景観
たびらい大分 - 鉄輪温泉
ひょうたん温泉

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