佐々木勝俊

佐々木 勝俊（ささき かつとし）氏は、1953年に東京都目黒区で生まれた日本のテレビ番組構成作家です。その異色の経歴と多岐にわたる活動は、数々の人気番組を支え、日本のテレビバラエティ史に独自の足跡を残しています。

異色のキャリアパス

商業高校を卒業した佐々木氏は、当初、衣類雑貨の企画販売を手掛ける青年実業家として活動していました。全国約200店舗にTシャツを卸すなど、年商1億円を超える成功を収めていた時期もあったといいます。しかし、人生の転機は20歳頃に訪れます。中学生の頃にテレビ番組『ヤング720』でその存在を知り、憧れを抱いていた景山民夫氏と偶然の出会いを果たしたのです。この出会いを機に、佐々木氏は実業家としての安定した道をあっさりと捨て、景山氏が趣味で活動していたバンドに参加するという大胆な選択をします。その後、自らを「元・金持ちの若造スポンサー兼便利屋」と称しながら、趣味と実益を兼ねる形でテレビ業界に関わるようになりました。

構成作家としての活躍

1982年に放送が始まった深夜の人気番組『タモリ倶楽部』は、佐々木氏が構成作家として本格的に活動を開始する場となりました。景山民夫氏の元で、独自の視点を取り入れた企画構成力を発揮。『タモリ倶楽部』の名物コーナーである「廃盤アワー」には「構成雑家」として出演も果たしています。また、同番組の耳に残る主題歌、ロイヤル・ティーンズの「ショート・ショーツ」は彼の選曲によるものです。自身の構成による番組『ENKA TV』でも出演者として顔を見せています。

多才な活動

佐々木氏の活動は構成作家にとどまりません。1984年には、ササキ・カツトシ&エミー・ジャクソン名義でデュエット曲「CRY ヨコハマ」を発表し、キャニオン・レコード（現在のポニーキャニオン）から歌手デビューを果たしました。この楽曲は、発売初週に佐々木氏の母親が大量にレコードを買い求めたことでオリコンチャート初登場16位を記録するというエピソードを持つものの、その後はヒットチャートから姿を消したといいます。また、作詞家としても活動しており、セクシーグループ、オナッターズの楽曲「恋のバッキン」の作詞を手掛けています。さらに、深夜番組『グッドモーニング』においては、水島裕子氏による人気コーナー「てんぱいぽんちん体操」といったユニークな企画を考案するなど、その発想力は多岐にわたる分野で発揮されました。

「イカ天」の生みの親

佐々木勝俊氏の功績として特筆すべきは、社会現象を巻き起こした音楽番組『三宅裕司のいかすバンド天国』の構成作家を務めたことでしょう。そして、この番組を語る上で欠かせない通称「イカ天」は、彼が生み出した流行語として日本のテレビ史に刻まれています。他にも、フジテレビの人気音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』など、数多くのヒット番組の制作に関わっています。また、青島幸男氏の末っ子弟子としても知られ、青島氏が参議院選挙に出馬した際には選挙カーの運転手を務めたという逸話も残っています。その人物像や活動については、1985年9月号の雑誌『STUDIO VOICE』でも特集が組まれるなど、当時から注目を集めていたことがわかります。

手掛けた主な番組

日本テレビ系
TV海賊チャンネル
天才・たけしの元気が出るテレビ!!
どちら様も!!笑ってヨロシク
TBS系
三宅裕司のいかすバンド天国
三宅裕司のエビぞり巨匠天国
王道バラエティ つかみはOK!
フジテレビ系
夕やけニャンニャン
ドキドキしちゃう
ダイババ
夜ヒットspecial
komu@com
HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP
1or8
魔法のランプ!
テレビ朝日系
タモリ倶楽部
エンカTV
グッドモーニング
まっ昼ま王!!水曜
* ほか

書籍・外部リンク

著作としては、神足裕司氏が編纂した書籍『誇大毛想』（2004年、扶桑社）に対談が収録されています。また、自身のブログ「アバウトでいこう！」や、高須光聖氏によるインタビュー記事「御影湯」「佐々木勝俊」が高須氏のオフィシャルホームページに掲載されており、その活動や人となりを知ることができます。

佐々木勝俊氏は、青年実業家、構成作家、歌手、作詞家、番組企画者といった多岐にわたる顔を持ち、日本のバラエティ番組の黎明期から発展期にかけて、その独自の感性と発想力で多くの番組に貢献した稀有な存在と言えるでしょう。

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