佐伯国守

佐伯国守（さえき の くにもり）は、生没年不詳の奈良時代の貴族です。宿禰（すくね）を姓とし、最終的な官位は従五位上、上総介（かずさのすけ）を務めました。

経歴

佐伯国守の名が歴史に登場するのは、称徳朝の天平神護元年（765年）のことです。この年、称徳天皇が紀伊国に行幸した際、天皇に随行した紀伊国司に対する叙位が行われました。当時、国守は紀伊掾（きいのじょう）という地方官の地位にありましたが、この行幸に際して従五位下という位階を授けられました。これは、彼の官僚としての能力や功績が認められた結果と言えるでしょう。

その後、神護景雲2年（768年）には、上総介に任ぜられています。上総介は、上総国（現在の千葉県 центральная 部）を統治する役職であり、国司を補佐する重要な役割を担っていました。この任官は、国守の行政能力が中央政府から高く評価されていたことを示唆しています。

光仁朝に入ると、宝亀2年（771年）までに上総介を辞任したと考えられています。辞任の理由は定かではありませんが、当時の政情や国守自身の事情などが影響した可能性があります。しかし、その後も官位は上がり続け、宝亀6年（775年）には従五位上に至っています。

官歴

佐伯国守の官歴は、『続日本紀』に記録されています。

時期不詳：正六位上・紀伊掾
天平神護元年（765年）10月22日：従五位下
神護景雲2年（768年）7月1日：上総介
宝亀2年（771年）9月16日：止上総介（上総介を辞任）
宝亀6年（775年）1月16日：従五位上

これらの記録から、佐伯国守は地方官から中央の官僚へと昇進し、最終的には従五位上という高い位階にまで上り詰めたことがわかります。

まとめ

佐伯国守は、奈良時代の地方官から身を起こし、最終的に従五位上まで昇った人物です。称徳天皇の紀伊国行幸や上総介への任官など、彼の官歴は当時の政治状況と深く関わっています。彼の生涯は、『続日本紀』を通じて垣間見ることができ、当時の貴族社会の一端を知る上で貴重な情報源となっています。

参考文献

宇治谷孟『続日本紀 （中）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年
宇治谷孟『続日本紀 （下）』講談社〈講談社学術文庫〉、1995年
『続日本紀』4 新日本古典文学大系15 岩波書店、1995年

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