佐太天神宮

佐太天神宮：菅原道真公ゆかりの歴史と自然が息づく神社

佐太天神宮は、大阪府守口市佐太中町に鎮座する、菅原道真公を主祭神とする神社です。古くから地域の人々に親しまれ、「佐太えびす」の呼び名でも知られています。その歴史は古く、菅原道真公の領地であったと伝えられ、道真公が太宰府へ左遷される際に滞在したとされる由緒ある地です。

歴史：道真公ゆかりの地から、地域を見守る神社へ

『佐太天神宮記』によると、昌泰4年（901年）、道真公が太宰府へ左遷される際にこの地に立ち寄り、しばらく滞在したとされています。そして、出発の際に自身の木像と自画像を残したと伝えられています。一説には、道真公は宇多上皇の計らいにより無実の証明を待つため、都からの沙汰を期待してこの地に滞在したともいわれ、この「沙汰」が転訛して地名「佐太」になったという説も存在します。

道真公没後50年後の天暦年間（947年～957年）、道真公を慕う人々によって、道真公が残した木像をご神体として祠が建てられたのが当社の始まりです。その後、河内国茨田郡大庭荘の惣社となり、天正8年（1580年）に小出秀政、元和元年（1615年）に小出吉英によって社殿が再興されました。

寛永17年（1640年）には、淀藩主・永井尚政によって本殿が、慶安元年（1648年）には拝殿、幣殿、神門、神饌所、絵馬所、宝庫などが造営されました。これらの費用は、道真公を崇敬する大坂の豪商・淀屋重當によって負担されたと言われています。延享3年（1746年）初演の『菅原伝授手習鑑』にある「佐太村の段」は、この神社がモデルとなっているエピソードとしても有名です。

明治時代には村社に列せられ、明治初期までは1月、5月、9月に連歌会が開催され、連歌が奉納されていました。また、享和元年（1801年）に発刊された『河内名所図会』にも掲載されており、江戸時代の景観を現在まで色濃く残す神社として知られています。

境内：豊かな自然と歴史的建造物が調和する空間

佐太天神宮の境内は、高さ20mを超える大樹など深い森に覆われ、大阪府の「大阪みどりの百選」にも選ばれています。長年に渡り、奉賛会の氏子崇敬者によって梅が植栽され、初春には梅の花が境内を彩り、美しい景観を作り出しています。

境内には、大阪府指定有形文化財である本殿、幣殿、拝殿をはじめ、神輿庫、社務所、筆塚、菅公水鏡の池、佐太会館、南門、宝庫、手水舎、石井筒、絵馬所、神門（石門）、一の鳥居などの建造物や、戎社、白太夫社、稲荷社、愛宕社、御旅社、牛社、銅牛社などの摂末社が点在しています。

特に本殿は、寛永17年（1640年）に淀屋重當の資金によって再建された一間社春日造で、正面に軒唐破風が付けられています。本殿の扁額にある「佐多天満大自在天神」は、曼殊院良恕法親王の筆によるものです。また、境内には、府指定有形文化財である「佐太天神宮 太刀」なども保管されています。

文化財：歴史を伝える貴重な遺品

佐太天神宮には、数多くの文化財が保存されています。大阪府指定有形文化財として、本殿、幣殿、拝殿、そして「佐太天神宮 太刀」が指定されています。さらに、守口市指定有形文化財として、「紙本著色天神縁起絵巻」が指定されており、大阪市立美術館に寄託されています。これらの文化財は、佐太天神宮の歴史と文化を伝える貴重な遺産です。

アクセス

佐太天神宮へのアクセスは、京阪バス「佐太天神前」バス停下車後、徒歩約7分です。

まとめ

佐太天神宮は、菅原道真公ゆかりの歴史、豊かな自然、そして数々の文化財が調和する、魅力あふれる神社です。静寂な境内を散策し、歴史と自然に思いを馳せる、やすらぎのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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