佐川博男

佐川博男の武道人生

佐川博男（さがわ はくお）は1917年2月8日に福島県の東白川郡塙町で生誕し、日本の武士道の象徴とも言える存在となった。彼は居合道の流派「夢想神伝流」の九段の範士であり、剣道でも七段の教士を誇る、長い武道人生を送った。

少年期と武道との出会い

佐川は若い頃から武道に興味を持ち、1928年に福島県立白河中学校に入学すると、剣道部に参加した。特に彼の心に強く刻まれたのは、在学中に郡山で行われた剣道大会での居合演武だった。そこで大島治喜太の演技を見て、彼は居合道への道を真剣に考えるようになった。

戦争と武道の関係

佐川は1936年、仙台陸軍教導学校を卒業後、第二次世界大戦において中国戦線に出征した。戦闘が続く中で、彼は武道が持つ真正な切れ味を体験することができた。特に彼が使用したのは藤原統景の古刀であり、戦闘の体験から「日本刀は3人斬ると脂が付いて斬れなくなる」という言い伝えに疑問を抱いていた。実際、彼は部下が作った短刀よりも日本刀の方が切れ味が落ちることはなかったと主張していた。

戦後の復活と指導

終戦後、武道は禁止されていたが、1949年頃には稽古が再開されることとなった。佐川は駒沢近くの道場で中山博道から居合の指導を受ける機会を得、1952年には尚道館道場に入門することになった。その後、東京都内の各道場で稽古に励む中で、多くの従弟子を持つことになった。

1972年、彼は自宅を改築して「博心館」を設立し、ここで少年剣道と夢想神伝流の居合道を指導し続けた。この施設名は、道場の開設にあたって受け取った歌に由来している。「身を鍛え 魂を磨き」といった歌詞は、生徒たちに心の重要性を説くものであった。

国内外からの評価と影響

佐川は東京都剣道連盟居合道部の部長を務め、1983年にはドイツでの居合道講習会に招かれるなど、海外からも高い評価を受けた。1990年以降は毎年ドイツを訪れて、居合道の指導を行っていた。

晩年と功績

彼の晩年からは、ますます武道への情熱が燃え上がる様子が見て取れた。2004年6月7日には第26回全日本高齢者武道大会で85歳以上の部で優勝を果たした。残念ながら同年の12月に彼はこの世を去ったが、その教えや武道への情熱は今もなお多くの人々に受け継がれている。

結論

佐川博男は、居合道と剣道の両方で卓越した技術を持ち、その生涯を通じて武道の普及と指導に努めた人物であった。彼の教えは、今後の世代にも影響を与え続けることでしょう。

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