大山氏

大山氏（おおやまし）

大山氏は、日本の複数の氏族に見られる名称です。主なものとして、清和源氏佐竹氏族、羽前国の清和源氏斯波最上氏族、相模の藤原北家秀郷流を称した糟谷四宮氏族、薩摩の宇多源氏佐々木氏族などが知られています。

清和源氏佐竹氏族の大山氏

常陸国に土着した清和源氏（河内源氏）の傍系である常陸源氏（佐竹氏）の流れを汲みます。新羅三郎義光の子、進士判官義業が常陸国に土着し、その子昌義が佐竹を名乗りました。その9代後の佐竹義篤（義敦）の五男、左京介義孝が初めて大山姓を名乗ったとされています。

義孝の兄弟には、佐竹氏10代当主となる佐竹義宣（義信）や、小場義躬、石塚宗義、藤井義貫（義實）がいました。義孝の子、義通は正長元年（1428年）に高久義景、檜澤助次郎を討ち、翌年には小里の戦いに臨みました。その子、義兼は嘉吉年間（1441年 - 1444年）に藤井、中原の地を加増されたとされ、隠居して孫根氏を称したと言われています。家督は弟の義定が継ぎ、その子義長と共に文亀2年（1502年）以降は佐竹義舜を助け戦いました。義長の子供である義成は天正2年（1574年）に一族の石塚義辰（義国と改名）と争いを起こし、子の常義、孫の義有と共に頓化原にて石塚氏と戦ったとされています。

代々、一族で近親結婚を繰り返しており、元々は同族でありながら、所領が近かった小場氏、石塚氏とは度々争ったと伝えられています。国替えの後、子孫は角館に移住し、後に佐竹宗家の命で院内を守ることになりましたが、義休（よしやす）が自害し、その子も夭折したため、大山氏の血筋は途絶えました。その後、茂木治貞の次男が大山姓を継ぎ、大山義武と名乗りました。

佐竹氏族大山氏の系譜（一部）

大山氏嫡流：佐竹義篤 - 大山左京介義孝 - 義通 - 義兼 = 義定 - 義長 - 義成 - 常義 - 義有
大山重光流：大山義成 - 義行 - 弥太夫義次 - 采女正重光 - 重次 - 重房 - 重利
大山義武流：義武（茂木治貞の次男） - 義次 - 義門 - 義福 - 十郎義雅 - …
大山重祐流：大山重房 - 重祐 - 重張 - 重庸 - 重是 - 重廣 - 重持
大山義景流：大山義景 - 定成 - 定侯 - 定方（定堅） - 景昆 - 景安
大山照岩流：佐竹義篤 - 大山左京介義孝 - 照岩 - 古山 - 高岩 - 常金 - 義成 - 常義 - 義在 - 孫次郎

宇多源氏佐々木氏族の薩摩大山氏

宇多源氏佐々木氏の庶流と伝わる武家・士族・華族でした。薩摩国頴娃郡大山村に住して大山と称し、封建時代を通じて島津氏に仕えました。この氏族からは、大山巌元帥を輩出しています。巌の功績により、その家系は華族の公爵家に列せられました。

大山氏を名乗るまで

佐々木高綱の次男光綱の次男行綱が鎌倉時代に薩摩国に下向したことが始まりとされています。行綱の跡を継いだ乗綱は、蒙古襲来の際に戦功をあげ、島津久経より大隅国西俣城を拝領しました。しかし、友綱の代に応永30年（1423年）に肝付氏によって西俣城を落とされ、島津氏から薩摩国頴娃郡大山村を拝領して移住し、以降「大山」を称するようになりました。

大山氏を称した後

大山氏の祖である大山友綱の後、元綱、綱次、解綱の3代は、いずれも島津氏のために戦い、戦死しました。解綱の戦死後には弟の某が分家を作ったことが家伝に伝わり、これが大山本家になったとされています。文禄・慶長の役（朝鮮出兵）では大山幸綱と大山綱宗の兄弟が戦功をあげ、それぞれ分家を作りました。

大山巌公爵家

大山巌の生家は、大山綱道の次男綱毅から分かれた分家です。西郷龍右衛門（西郷隆盛・従道兄弟の祖父）の子綱昌が綱毅の娘を室に迎えて養子となり、その次男が大山巌でした。

巌は維新に際して国事に奔走し、戊辰戦争でも戦功をあげ、明治4年に陸軍大佐に任じられて以降、陸軍軍人として累進し陸軍大将まで昇進しました。西南戦争でも軍功をあげ、明治13年には陸軍卿に任じられました。明治17年7月7日には戊辰戦争における勲功により華族の伯爵位が与えられ、その後も陸軍大臣として各内閣に入閣、日清戦争、日露戦争で大きな功績を挙げ、侯爵、公爵へと陞爵しました。

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