佐良山村

佐良山村（さらやまそん）

かつて岡山県久米郡に存在した佐良山村は、1889年6月1日に町村制が施行された際に発足しました。その歴史は比較的短く、1941年2月11日には隣接する苫田郡東苫田村とともに津山市へ編入され、自治体としての役割を終えました。廃止時点の佐良山村の区域は、現在の津山市内に位置する一方（いっぽう）、井口（いのくち）、皿（さら）、高尾（たかお）、津山口（つやまぐち）、中島（なかしま）、平福（ひらふく）、福田（ふくだ）といった各地域にほぼ相当します。特に、津山市への編入が実施された際、旧村域内の大字であった「北（きた）」は「津山口」と改称されました。

沿革

佐良山村の始まりは、1889年6月1日に施行された町村制に遡ります。この時、久米南条郡に属していた一方村、井口村、皿村、高尾村、北村、中島村、平福村、福田村、大谷村の9ヶ村が合併し、佐良山村として成立しました。村の行政の中心である役場は大字平福に置かれました。その後、郡制の改正に伴い、1900年4月1日には久米南条郡が久米北条郡と合併して久米郡が誕生し、佐良山村は久米郡に所属することになりました。村域の変動もあり、1901年4月1日には大字大谷が分村し、福岡村（現在の津山市福岡地区の一部）へ編入されています。そして1941年2月11日、佐良山村は苫田郡東苫田村とともに津山市に編入され、その行政区域としての歴史に幕を下ろしました。

現在の佐良山地区

現在の津山市において「佐良山地区」という呼称は、使われる文脈によって広義と狭義の二つの意味合いを持ちます。広義の佐良山地区は、前述の通り大字大谷が分離した後の旧佐良山村の区域を指すことが一般的です。一方、狭義では現在の津山市立佐良山小学校区と概ね一致する範囲を指す場合があり、この範囲では小学校区に含まれない一部の旧佐良山村域（津山口の一部など）は含まれず、逆に旧福岡村域の一部（種など）が含まれるといった違いが見られます。しかし、本項では、自治体としての佐良山村の歴史的範囲、すなわち広義の佐良山地区を中心に記述しています。この地域は、岡山方面から国道53号線やJR津山線を利用して津山へ向かう際に最初に通過する主要な地域であり、津山市の南の玄関口としての役割を担っています。

隣接地域

旧佐良山村または現在の広義の佐良山地区に隣接する主な自治体や津山市内の地区は以下の通りです。

津山市城西地区
津山市院庄地区
津山市二宮地区
津山市福岡地区・福南地区
久米郡美咲町（旧三保村、豊岡村の一部にあたる地域）

村を構成した地域（旧大字）

町村制施行時に佐良山村を形成した旧大字は以下の通りです。

一方
井口
大谷（1901年4月1日までは佐良山村の一部）
皿
高尾
北（津山市編入時に津山口へ改称）
中島
平福
福田

人口

2019年1月1日時点の住民基本台帳に基づくデータによると、広義の佐良山地区における総人口は6,042人でした（津山市調べ）。

教育施設

佐良山地区内には以下の教育施設が設置されています。

津山市立佐良山幼稚園
津山市立佐良山小学校

交通網

鉄道: JR津山線が地区内を縦断しており、津山口駅と佐良山駅が利用可能です。
道路: 国道53号、国道179号、国道429号といった主要国道が地区内を通過しています。高速道路は地区内には建設されていません。一般県道としては、岡山県道449号押淵皿線が通っています。

自然（河川・山岳）

地区内には以下の主要な河川や山岳が存在します。

河川: 吉井川、皿川、種川、倭文川
山岳: 神南備山、笹山、嵯峨山

寺院・神社

地区内にある代表的な寺院や神社は以下の通りです。

寺院: 長法寺（大谷）
神社: 佐良神社（一方）

参考文献

和泉橋警察署 『新旧対照市町村一覧』第2冊（東京：加藤孫次郎, 1889）
地名編纂委員会 『角川日本地名大辞典33 岡山県』（角川学芸出版, 1989）

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