津山口

津山口（つやまぐち）は、岡山県津山市に属する地名であり、郵便番号は708-0884が割り当てられています。津山市域の南部に位置し、地域名の「津山」と「口」が示す通り、歴史的には津山への出入り口、あるいは津山方面への道筋を示す場所であったと考えられています。

この地域は、市内を流れる主要河川である吉井川の南岸に沿って広がっています。地形は比較的平坦であり、古くから人々の生活や経済活動が営まれてきました。現代の津山口の地理的な特徴としては、多種多様な商業施設や事業所が立地している点が挙げられますが、特に自動車の販売店、整備工場、部品供給を行う企業などが集積していることが顕著です。これは、後述する幹線道路網の整備状況とも関連が深く、地域の一つの活気を形成しています。

津山口という現在の地名が成立したのは、比較的新しい出来事です。明治時代の町村制施行に伴う地方行政区画の再編において、1889年（明治22年）6月1日、この地域は久米南条郡北村の一部として、周辺の村々と合併し佐良山村が誕生しました。この際、北村は佐良山村の大字「北」となります。その後、1900年（明治33年）4月1日には久米南条郡が久米北条郡と合併し、所属が久米郡へと変更されました。地域にとって大きな転換点となったのは、第二次世界大戦中の1941年（昭和16年）2月11日です。この日、久米郡佐良山村が、隣接する苫田郡東苫田村とともに津山市に編入されることになりました。この編入時に、それまでの大字「北」が現在の「津山口」と改称され、今日に至る地名が確立されたのです。

交通網を見ると、津山口は鉄道と主要な幹線道路の両面で利便性を確保しています。鉄道路線としては、岡山市と津山市を結ぶJR津山線が地域内を通過しており、地域名の冠する津山口駅が設けられています。この駅は地域の公共交通における拠点としての役割を果たしています。道路網においては、地域内に複数の国道が通過しており、広域的なアクセスを支えています。具体的には、岡山県を南北に縦断し重要な役割を担う国道53号、鳥取県方面へと連絡する国道179号、そして四国方面にも通じる国道429号が地域内を通っています。これらの国道の複数区間が重複している地点も存在し、自動車による地域内外への移動が容易になっています。この交通の便の良さが、前述した自動車関連事業所の集積を促進する一因となっていると考えられます。

地域内には、住民の生活や産業活動を支える様々な施設が見られます。食料品の流通拠点である津山総合食品卸売市場協同組合は、地域の食を支える重要な施設です。また、地域住民の郵便サービスを提供する津山口郵便局も立地しています。商業施設の中でも特に目立つのは、自動車関連の事業所であり、トヨタカローラ岡山やネッツトヨタ山陽、日産サティオ岡山、岡山日野自動車、津山スズキ販売といった大手自動車メーカーの販売店や、トヨタレンタリース新岡山のようなレンタカー事業者、さらには両備ホールディングスのバス営業所など、車両に関連する多岐にわたる企業が集まっています。その他にも、地域密着型のスーパーマーケットであるつるや、レジャー施設として親しまれているツモクボウリング、ヤクルト津山販売といった生活関連施設や娯楽施設も点在しており、津山口地域の多様な側面を構成しています。

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