佐藤康宏

佐藤康宏：日本美術史を深く探求する美術史学者

佐藤康宏（さとう やすひろ）は、1955年1月17日生まれの日本の美術史学者で、東京大学名誉[[教授]]の肩書きを持つ人物です。彼は、博士（文学）の学位を持ち、特に日本美術史、中でも近世絵画史を専門としています。彼の研究は、日本美術の歴史的変遷を深く理解するための重要な貢献となっています。

経歴

宮崎県出身の佐藤氏は、1978年に東京大学文学部美術史学専修課程を卒業後、1980年に同大学院人文科学研究科修士課程を修了しました。その後、東京国立博物館の技官、文化庁文化財保護部美術工芸課の技官を経て、1989年には同絵画部門の文化財調査官に就任しました。1994年には東京大学文学部の助[[教授]]となり、2000年に教授に昇進しました。2020年に定年退任し、現在は東京大学名誉[[教授]]として、研究活動を継続しています。また、日本東洋美術研究誌『國華』の編輯委員も務めています。

2008年から2016年まで放送大学の客員[[教授]]を兼任し、月刊誌『UP』（東京大学出版会）では、2009年5月から2021年まで「日本美術史不案内」を連載しました。文化庁在籍時には、1985年にロサンゼルス・カウンティー美術館で開催された「近世水墨画展」や、1989年から90年にかけてニューヨークのアジア・ソサエティー美術館とロサンゼルス・カウンティー美術館を巡回した「若冲展」の企画・実施を担当しました。これらの展覧会では、英文の研究的カタログの執筆にも携わりました。さらに、2018年には『國華』130周年と朝日新聞140周年を記念する特別展「名作誕生 つながる日本美術」の企画も担当しました。

東大在任時

2015年10月には、放送大学の単位認定試験で政治的なテーマに関連する記述をしたことが問題となりました。試験後、受験者から現政権批判と受け取られかねないとの指摘がありましたが、佐藤氏は問題文の趣旨は思想誘導ではないと反論しました。しかし、大学側は公平性に欠けるとして問題文の一部削除を要求し、佐藤氏がこれに反発したため、客員[[教授]]の契約は2015年度で終了しました。

2020年3月には、『若冲伝』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しました。同年12月には、菅義偉内閣による日本学術会議新委員任命拒否問題に抗議し、登録美術品調査研究協力者会議の座長を辞任しました。これらの出来事は、佐藤氏の社会に対する強い関心と、学問の自由を重んじる姿勢を示しています。

研究内容と業績

佐藤氏の研究は、日本の近世絵画史、特に伊藤若冲などの画家の研究で知られています。彼の著書は、美術史研究に新たな視点を提供し、多くの研究者や学生に影響を与えています。また、展覧会の企画を通じて、美術作品の魅力を広く一般に伝える活動も行っています。

主な著書

『日本の美術 256 伊藤若冲』（至文堂、1987年）
『新編名宝日本の美術（27） 若冲・蕭白』（小学館、1991年）
『湯女図　視線のドラマ』（平凡社、1993年／ちくま学芸文庫、2016年）
『日本の美術 365　歌麿と写楽』（至文堂、1996年）
『新潮日本美術文庫 14 　浦上玉堂』（新潮社、1997年）
『もっと知りたい 伊藤若冲 生涯と作品』（東京美術、2006年、改訂版2011年）
『The World of Ito Jakuchu: Classical Japanese Painter of All Things Great and Small in Nature』（Japan Publishing Industry Foundation for Culture, 2020）
『日本の美術 484　祭礼図』（至文堂、2006年）
『日本美術史』（放送大学教育振興会、2008年、改訂版2014年）
『国宝の美 41　風俗画』（朝日新聞出版、2010年）
『絵は語り始めるだろうか　日本美術史を創る』（羽鳥書店、2018年）
『若冲伝』（河出書房新社、2019年）
『若冲の世紀　十八世紀日本絵画史研究』（東京大学出版会、2022年）

共著・編著

『原色日本の美術 第27巻　在外美術（絵画）』（小学館、1980年）
『Japanese Ink Painting』（Los Angeles County Museum of Art, 1985）
『The Paintings of Jakuchu』（The Asia Society Galleries, 1989）
『岩佐又兵衛全集』（藝華書院、2013年）
『名作誕生　つながる日本美術』（東京国立博物館・國華社・朝日新聞社、2018年）
『講座日本美術史 第1巻 物から言葉へ』（東京大学出版会、2005年）
『講座日本美術史 第3巻 図像の意味』（東京大学出版会、2005年）
『日本美術のつくられ方　佐藤康宏先生の退職によせて』（羽鳥書店、2020年）

注釈

佐藤氏の著作には、東京大学のウェブサイトで著者自身による解説が掲載されているものがあります。

『湯女図』
『日本美術史』
『絵は語り始めるだろうか』
『若冲伝』

関連項目

東京大学の人物一覧

外部リンク

* 佐藤康宏 (yasuhiro.sato.54) - Facebook

佐藤康宏氏の研究と活動は、日本美術史の理解を深める上で不可欠であり、その業績は今後も高く評価され続けるでしょう。

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