佐藤彦五郎

佐藤彦五郎

佐藤彦五郎（さとう ひこごろう）は、文政10年（1827年）に武蔵国多摩郡日野宿で生まれた人物です。日野宿の組合名主として、地域社会の発展に尽力しました。また、新選組の後援者としても知られ、多摩地域における指導者的な役割を担いました。雅号は春日庵盛車、明治維新後は俊正と名乗りました。

生涯

彦五郎は11歳の時に家督を継ぎ、日野本郷名主、日野宿問屋役、日野組合村寄場名主を歴任しました。弘化2年（1845年）には、土方歳三の姉と結婚しています。嘉永2年（1849年）に発生した大火で母親が盗賊に殺害されたことをきっかけに、武芸の必要性を痛感し、天然理心流の道場に入門しました。自邸に道場を設け、近藤勇、土方歳三、沖田総司らが稽古に訪れるようになり、後の新選組結成に繋がりました。

文久3年（1863年）に近藤らが浪士組として上洛すると、彦五郎は彼らを物心両面から支援しました。新選組結成後も親交は続き、京都の情勢が多摩地域に伝えられました。多摩地域での農兵隊編成にも関与し、武州一揆鎮圧や薩摩浪士捕縛などで活躍しました。慶応4年（1868年）には、甲陽鎮撫隊に加わりますが、敗戦後、一時潜伏しました。その後、日野宿有志の嘆願により公職に復帰しています。

明治維新後、彦五郎は小島らと共に新選組隊士の復権と顕彰に尽力し、高幡不動の境内に建てられた「殉節両雄之碑」の建立にも関わりました。明治11年（1878年）には、初代南[[多摩郡]]長に就任し、地方行政に貢献しました。明治35年（1902年）、76歳で亡くなりました。

俳句

彦五郎は俳句を趣味とし、「春日庵盛車」の雅号で多くの句を詠みました。近藤勇や土方歳三を悼む句も残しています。

京都へ旅立つ井上源三郎、土方に向けて
辻風に まけて曲るな 今年竹
花毎に 一と葉つゝ添ふ 葵かな
近藤への追悼句
鬼百合や 花なき夏を 散りいそく
土方への追悼句
待つ甲斐も なくてきえけり 梅雨の月

登場作品

ドラマ
新選組!（2004年、NHK総合、演：小日向文世）

関連項目

江川英龍 - 多摩を支配していた伊豆代官。彦五郎の後見人的立場であり、農兵隊を含む幕府兵制の近代化に尽力した。

外部リンク

日野宿本陣文書検討会
佐藤彦五郎資料館

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