佐郷屋留雄

佐郷屋 留雄の生涯と活動

佐郷屋留雄（さごうや とめお）は、1908年12月1日に生まれ、日本の右翼活動家としてその名を知られています。彼は熊本県出身で、別名を佐郷屋嘉昭（さごうや よしあき）とも称されています。彼の人生は、数々の波乱に満ちたものであり、特に濱口雄幸首相暗殺未遂事件に関与していたことで広く知られています。

経歴

佐郷屋の本籍は長崎県東彼杵郡彼杵村ですが、彼は清国の吉林省和龍県大拉子（現在の中国延辺朝鮮族自治州）で出生しました。その後、朝鮮の忠清南道大田面に移り、小学校を卒業します。15歳という若さで家を出た彼は、母親のいる大牟田市に身を寄せ、そこで日本郵船の舵夫として働くことになります。この後、神戸や横浜など各地の汽船会社で経験を積み、19歳までに多くの場所を転々としました。

1927年、彼は大連からシンガポールへ密航し、翌年には鹿児島の船で神戸へ戻ります。そして、東京に上京し、黒龍会の渡辺義久などの支援を受けます。1929年には渡辺が暴行される事件に巻き込まれ、報復として犯人を襲撃し、傷害罪で逮捕されることになります。彼には4年の執行猶予が与えられましたが、以降、彼の活動はより過激になっていきます。

濱口首相暗殺未遂事件

1930年11月14日、佐郷屋は東京駅にて当時の首相である濱口雄幸を銃撃するという衝撃的な事件を引き起こしました。この暗殺未遂事件は、濱口が特急燕に乗るためにホームを移動中の出来事であり、近距離から撃たれた濱口は重傷を負い、その後、運悪くもこの傷が元で翌年に亡くなってしまいます。

佐郷屋は銃撃後にすぐに取り押さえられ、現行犯逮捕されました。事件後、彼は背後にある右翼団体を匿いながらも、「濱口は社会を不安定にさせ、陛下の権威を疎かにしたためにやった」と供述しました。しかし、実際には彼自身が「統帥権干犯」の意味を理解していなかったことが明らかになりました。

彼は殺人未遂罪で起訴され、一審では死刑判決が下されましたが、二審では殺人未遂として扱われ、刑が軽減されました。最終的には、1934年に恩赦を受けて無期懲役に減刑され、1940年に仮出所を果たしました。

出所後の活動

仮出所後、彼は愛国社の社長である岩田愛之助の娘婿となり、右翼団体の佐郷屋としての活動を引き続き行いました。しかし、戦後は公職追放を受け、名前を佐郷屋嘉昭に改名します。1954年には、血盟団事件の中心人物である井上日召と共に右翼団体護国団を結成し、副団長として活動を続けました。この団体は、指定した者に対して暴力行為や恐喝事件を繰り返し、幾度となく彼自身も逮捕されています。

また、1959年には全日本愛国者団体会議（全愛会議）の初代議長に就任するなど、一時的に勢力を持ちました。その後、彼は キックボクシングの教育者でもあった藤元正義などに影響を与えましたが、直接的に思想的教育を施したという証言は残っていません。

最期

1972年4月14日、入院先の東京慈恵会医科大学付属病院で肝硬変のために亡くなりました。また、同年には恐喝事件に関与していたとして書類送検されもしました。佐郷屋留雄の生涯は、右翼活動を通じて日本の歴史に深く刻まれたものとなっています。

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