作楽神社

作楽神社

作楽神社は、岡山県津山市神戸に位置する神社です。この地は、鎌倉時代から室町時代にかけて美作国の守護館「院庄館」があった場所として知られています。明治2年（1869年）、津山藩主であった松平慶倫公によって、後醍醐天皇とその忠臣である児島高徳公を祭神として創建されました。

由緒

作楽神社の創建には、後醍醐天皇と児島高徳公の深い関わりがあります。元弘の乱で捕らわれの身となった後醍醐天皇が隠岐へ配流される途中、院庄の守護館に宿泊されました。その際、備前国の豪族であった児島高徳公は、天皇を奪還しようと試み、守護館に忍び込み、桜の木の幹に「天莫空勾践 時非無范蠡」という十字詩を刻みました。これは、越王勾践を助けた范蠡のように、必ずや天皇を救い出す忠臣が現れるという忠義のメッセージでした。

江戸時代に入り、津山藩家老の長尾勝明公は、児島高徳公の忠義を称え、貞享5年（1688年）に桜の樹があったとされる場所に顕彰碑を建立しました。その後、松平慶倫公が明治元年に神社創設の許可を得て、明治2年11月27日に社殿が完成し、作楽神社が創建されました。明治10年には県社となり、明治36年には従三位の神階が贈られました。

歴史

作楽神社は、児島高徳公を題材とした史劇を演じていた俳優、川上音二郎によって新たな拝殿が寄進されました。この建物は、後に神楽殿として転用されています。

大正11年（1922年）3月8日には、神社の敷地全体（30,189平方メートル）が「院庄館跡（児島高徳伝説地）」として国の史跡に指定されました。津山市教育委員会による発掘調査も行われ、歴史的な価値が再認識されています。

後醍醐天皇と児島高徳公が共に達筆であったことにちなみ、昭和56年（1981年）からは毎年1月中旬に古筆感謝祭（筆まつり）が開催されています。書道の上達を願う人々が多く訪れます。

神紋

神紋は丸に桜花です。これは、児島高徳公が桜の木に歌を刻んだ故事に由来すると考えられます。

社宝

作楽神社には、以下の貴重な社宝が所蔵されています。

太刀（銘国行）：重要文化財に指定されており、松平慶倫公によって寄進されました。
児島高徳公木造：文化9年（1812年）に津山藩主松平斉孝公の命により製作されました。
古刀3口

主な年中行事

古筆感謝祭（1月中旬）
例祭（4月第2日曜日）

交通

JR姫新線院庄駅から徒歩約15分
中鉄バス・おおぞらバス「作楽神社前」停留所下車
中国自動車道院庄インターチェンジから西へ約500メートル

境内

境内には約100本のソメイヨシノが植えられており、春には美しい桜が咲き誇ります。また、神社の敷地全体が国の史跡「院庄館跡（児島高徳伝説地）」に指定されており、歴史を感じさせる空間となっています。

作楽神社は、歴史と文化が息づく、地域の人々に愛される神社です。

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