信州百名山

信州百名山とは

「信州百名山」とは、随筆家・清水栄一氏が著書『わが遍歴の信州百名山』および決定版『信州百名山』で選定した、長野県を代表する100の名山のことを指します。長野県は「日本の屋根」とも呼ばれる山岳県であり、北アルプス、中央アルプス、南アルプスといった山脈が連なり、多くの名峰が集中しています。清水氏は、これらの山々を実際に歩き、その中から特に優れた100座を選び出しました。

選定の背景

清水栄一氏は、長野市の印刷会社社長であり、深田久弥氏のファンクラブ「深田クラブ」の会員でもありました。長野県内の山々を深く愛し、その魅力を広く伝えたいという思いから、この選定に至ったと言われています。長野県の山々は、その多様な地形と豊かな自然によって、多くの登山者を魅了し続けています。

選定基準

清水氏が選定にあたって重視した基準は以下の通りです。

標高1,000m以上であること
山容が美しく、登山意欲を掻き立てる山であること
山脈や山域を代表する山であること
山頂が長野県内または県境にあること
自身が実際に登頂した山であること

これらの基準に基づき、100の名山が選ばれました。

信州百名山の変遷

初版の『わが遍歴の信州百名山』(1979年)では、毛無山、奥三界岳、蛇峠山が選ばれていましたが、1990年の決定版『信州百名山』では、大渚山、鋸岳、池口岳に差し替えられました。これは、毛無山、蛇峠山が開発によって魅力が減少したこと、奥三界岳の山容がやや見劣りすることなどが理由として挙げられています。

付属12座

信州百名山には、主峰に準じる山として以下の12座が付属されています。

裏岩菅山 - 岩菅山
破風岳 - 御飯岳
根子岳 - 四阿山
湯ノ丸山 - 烏帽子岳
虚空蔵山 - 太郎山
男山 - 天狗山
五郎山 - 国師岳
唐沢岳 - 餓鬼岳
奥三界岳 - 小秀山
越百山 - 南駒ヶ岳
摺古木山 - 安平路山
* 釜無山 - 入笠山

これらの山々も、信州の山岳景観を語る上で欠かせない存在です。

信州百山との違い

信濃毎日新聞社が発行した『信州百山』も、長野県内の山々を選定した書籍です。信州百名山とは異なり、地域の生活に根ざし、人々に親しまれてきた山々が選ばれているのが特徴です。そのため、里山や地形図に名前がない山も含まれています。信州百名山とは60座が重複しています。

信州ふるさと120山

長野県山岳協会が選定した『信州ふるさと120山』は、平成の大合併前の市町村を代表する山々を選んだものです。地域の歴史や文化と深く結びついた山々が選ばれており、信州の山岳文化の多様性を知ることができます。

各地域ごとの信州ふるさと120山

北信の山

鳥甲山、毛無山、鍋倉山、高標山、岩菅山、高社山、笠ヶ岳、斑尾山、雁田山、破風岳、黒姫山、戸隠連峰、一夜山、鼻見城山、霊仙寺山、髻山の眺望、飯縄山、虫倉山（2座）、長者山、鏡台山、聖山、大林山、冠着山、大峰山

東信の山

根子岳、太郎山、子檀嶺岳、独鈷山、王ヶ頭、大笹峰、大出山、三方ヶ峰、高峰山、前掛山、石尊山、蓼科山、烏帽子岳の眺望、黒斑山の眺望、大河原峠、荒船山、榊山、茂来山、八柱山、天狗岳、四方原山、御座山、飯盛山、金峰山

中信の山

雨飾山、白馬三山、蓮華岳・針ノ木岳、鹿島槍ヶ岳の眺望、大姥山、有明山、高照山、燕岳、常念岳、鍋冠山、天狗岩、乗鞍岳、鎌ヶ峰、王ヶ鼻、光城山、長峰山、聖山、四阿屋山（2座）、岩殿山、京ヶ倉、空蔵山、鉢盛山（2座）、ハト峰、霧訪山、坊主岳、鳥居峠・峠山、御嶽山（2座）、城山、茶臼山、小秀山、風越山、糸瀬山、南木曽岳、高士幾山

南信の山

高ボッチ山、鷲ヶ峰、車山、赤岳、阿弥陀岳、入笠山、楡沢山、桑沢山、経ヶ岳、将棊頭山、守屋山、宝剣岳、仙丈ヶ岳、戸倉山、越百山の眺望、陣馬形山、小八郎岳、本高森山、鬼面山、二児山、鬼ヶ城山、風越山、御池山、池口岳、南沢山、恵那山、大川入山、前亀沢山、子城頭、弁当山、高嶺山、昔高森、熊伏山、茶臼山

まとめ

信州百名山は、長野県の豊かな山岳景観を代表する名山群です。選定者の思いや選定基準を知ることで、より深く山の魅力を感じることができます。また、『信州百山』や『信州ふるさと120山』といった他の選定と比較することで、信州の山々の多様な側面を知ることができるでしょう。信州の山々を訪れる際には、ぜひこれらの選定を参考にしてみてください。

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