俵 (単位)

俵（ひょう）とは

俵とは、米穀をはじめとする様々な産物の取引や流通に使われてきた単位です。尺貫法とは独立した特殊な単位であり、具体的な量は対象となる品目によって異なります。

俵の歴史

元々は、一つの俵に入れる体積を表す単位でしたが、現在では質量の単位として使われています。1952年の計量法改正により、尺貫法と同様に非法定計量単位となり、法的根拠を失いました。そのため、現在では取引慣習によって俵の量目が定められています。

米俵について

現在の米穀取引では、1俵は60kgとされています。しかし、かつては枡を基準とした体積で計量され、流通していたため、俵は体積を表す単位でした。

平安時代には5斗で1俵とする記述が残っていますが、当時の1斗は現在の0.4斗に相当するため、1俵は約30kgでした。戦国時代から江戸時代にかけては、1俵は2斗から5斗の間で、時代や土地によって異なりました。例えば、幕府は1俵を3斗5升としましたが、加賀藩では5斗でした。また、俵自体にも四斗俵や六斗俵など様々なサイズがあり、規格が一定していませんでした。

明治時代になって、俵の容量が統一されました。各県の米穀検査規則によって、俵の容量は「4斗」と定められ、俵の寸法や構造も標準化されました。未検査の米は流通が禁じられていたため、一俵＝4斗が事実上の統一基準となりました。1斗は18.039リットルと法定されていたため、明治時代の1俵は72.156リットル、米1斗の質量は約15kgなので、1俵は約60kgとなります。

かつては、60kgの米俵を担ぎ上げることができれば一人前の労働者とみなされていました。米の出荷、保管、輸送に便利であり、1俵は労働者一人が担いで運ぶ量、2俵は馬一匹の積載量でした。

現代では、60kgの米俵を扱うことが難しくなり、出荷流通の米袋は「半俵」の30kg入りの紙袋包装が一般的です。

石と俵の違い

「石」と「俵」は、どちらも米の量を表す単位ですが、その性質は異なります。「石」は、人間一人が1年に食べる米の量とされ、石高制の基礎単位です。一方、「俵」は、単に米を流通のために包装する単位です。

江戸時代の武士の収入には、「石」と「俵・扶持」の表記があります。領地から年貢を徴収する上・中級武士は「石」、領地を持たず米の現物支給を受ける軽輩は「俵・扶持」で収入が表されました。知行の換算は、米1俵＝1石＝金1両（名目レート）、蔵米5俵＝1人扶持でした。

幕府の御家人の知行1石が蔵米1俵に相当するのは、天領の税率が四公六民であるため、知行1石から武士には4斗の収益となります。これを精米すると約3斗5升となり、蔵米の精米1俵分とほぼ同等になります。

米以外の俵

大豆や小麦は60kg、馬鈴薯や大麦は50kg、ソバは45kgが1俵です。木炭の1俵は15kgです。

北海道胆振地方では、木炭の等級によって1俵の重量が異なっていました。最上級品は約15kg、上物は約37.5kg、それ以下の等級は約30kgでした。

英語で繊維原料の取引単位である「Bale（ベイル）」の訳語には「俵」が当てられ、国内でも取引の基準単位とされます。1ベイルの量は、対象品目や産出国によって異なります。アメリカ綿の場合、1俵は約226.8kgです。また、コーヒー豆の流通は60kg入りの麻袋が国際標準ですが、これはブラジル起源であり、偶然の一致です。

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